【AI 技術導入ガイド】企業の RAG 活用のポイントと業務別活用事例

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【AI 技術導入ガイド】企業の RAG 活用のポイントと業務別活用事例

近年、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進や生成AIの実用化が急速に進む中で、既存の言語モデルだけでは対応しきれない「最新情報へのアクセス」や「専門知識の正確な参照」が求められています。そこで注目を集めているのが、Retrieval-Augmented Generation(以下、RAG)と呼ばれるアーキテクチャです。本記事では、RAGの仕組みを簡潔に解説するとともに、具体的な業務別 RAG 活用事例の紹介をしていきます。

社員A:「このAIチャット、うちの資料をちゃんと読んでるの?社内のマニュアルとか議事録の内容を質問しても、全然知らないみたいなんだけど...」

社員B:「それRAG構成にすれば解決できますよ。RAGを使うと、AIが社内の文書を参照しながら回答できるようになるんです」

社員A:「RAG?初めて聞く言葉だけど、どういう仕組みなの?」

社員B:「簡単に言うと、AIが質問に答える前に、関連する情報を検索して、その情報を元に回答を生成する技術なんです。だから、社内の文書の内容も正確に反映した回答ができるようになりますよ」

生成AIの導入支援をしていると、こんな質問をよく受けます。実はこの課題を解決する鍵となるのが"RAG"という技術なんです。ChatGPTなどの生成AIに、外部の情報を参照させながら回答させる仕組みで、社内ナレッジの活用や、最新情報に基づいた応答を実現できます。

RAGとは?

RAGの定義と背景

RAGとは「検索拡張生成」のことで、生成AIの応答に外部情報を参照させる技術です。

生成AIが"もともと持っている知識"だけで答えるのではなく、検索した社内資料や最新情報などを元に回答を生成する仕組みです。例えば、社内のマニュアルや過去の議事録を検索して、その内容を踏まえた回答を生成することができます。

通常の生成AIは、学習済みの知識に基づいて回答を出します。しかしそれでは「最新情報」や「社内限定の情報」には対応できません。RAGでは、AIが回答を出す前に次のような処理を行います:

  1. 質問を受け取る
  2. 関連する情報を外部(例:社内PDF)から検索
  3. その情報を含めて回答を生成する

つまり、AIの知識を補う"外部の調べ物機能"を組み込んだ仕組みなのです。

RAGが必要とされる背景

従来の大規模言語モデル(LLM)は学習済みデータに基づく静的な知識しか持たず、以下のような実務課題を抱えやすいという課題がありました。

  • 情報更新の遅延:モデルの知識がトレーニング時点までに限定され、新製品情報や最新規制にキャッチアップできない
  • 専門知識の曖昧化:複雑なドメイン知識(法務、医療、製造技術など)が一般的な学習データでは不十分
  • 回答の信頼性不足:生成内容に根拠が示されず、業務上の判断材料として使いにくい

RAGを導入すると、外部ナレッジソースを動的に参照しながら「根拠付き」の応答を行えるため、これらを克服することができます。一般的な大規模言語モデル(LLM)を使用したアプリケーションでは、上記のような問題を解決することができないことから、RAG システムの構築をご検討されるお客様が非常に多いです。

業務別RAG活用事例

RAGが使用されている具体的な業務例

RAGは様々な業務シーンで活用されています:

カスタマーサポート:FAQやマニュアルを検索できるチャットボット

  • 課題:問い合わせ対応に時間がかかる、回答の品質にばらつきがある
  • 解決策:過去の問い合わせ履歴やマニュアルをRAGで検索し、チャットボットが回答
  • 効果:応答時間の短縮、回答品質の均一化、顧客満足度の向上

営業支援:提案資料や商談記録の検索

  • 課題:過去の成功事例や商談内容をすぐに参照できない
  • 解決策:提案資料や商談記録をRAGで検索可能し、関連する資料を提供
  • 効果:提案準備時間の短縮、商談の質向上

製造業:作業マニュアルや技術文書の検索

  • 課題:現場での作業手順確認に時間がかかる
  • 解決策:作業マニュアルや技術文書をRAGで検索し、関連する文書を提供
  • 効果:作業効率の向上、ヒューマンエラーの防止

RAG の技術的概要

RAGの基本構成は以下の3ステップで動作します:

  1. 質問を受け取る
    • ユーザーからの質問を入力として受け取ります
    • 必要に応じて質問を整形・前処理します
  2. 関連情報を検索
    • 質問に関連する情報をベクトル検索で取得
  3. 回答を生成
    • 検索結果と質問を組み合わせてプロンプトを作成
    • LLM(大規模言語モデル)で回答を生成
    • 必要に応じて回答の根拠を提示

RAG 導入のポイント 3 つ

  • RAGは「検索+生成」の組み合わせで、社内ナレッジをAIで活用できる技術
  • カスタマーサポート、営業支援、製造現場など、幅広い業務で活用可能
  • 成功の鍵は、文書の構造化と検索精度の設計にある

ご案内

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【導入実績】

  • 大手メーカー(営業・セールス):類似する過去提案資料から新規の資料ストーリーを作成する生成AIの導入により、商談資料作成業務の工数を約 12,000時間(40%) 削減
  • 大手メーカー(品質保証):問い合わせに関連する社内資料から回答文を作成する生成AIの導入により、顧客問い合わせ対応業務の工数を約 508時間(20%) 削減
  • 大手メーカー(開発・設計):類似する過去要件定義書から新規の要件定義書を作成する生成AIの導入により、要件定義書作成業務の工数を約 600時間(50%)削減

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  • マニュアルや議事録を検索できるAIシステムを導入したい
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