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E資格合格者が語る!E資格に落ちないための対策方法を解説
E資格とは
E資格とは?
E資格とは、日本ディープラーニング協会(以下、JDLA)が主催する「ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているか」どうかを認定する資格試験です。
試験の中では、機械学習や深層学習(ディープラーニング)の知識を始め、開発環境や応用数学の理解まで幅広く問われるような試験となっています。
JDLA は E資格と G検定の 2 つの資格を展開しており、JDLA が認定するもう一つの資格、G検定の次のステップとも位置付けられるエンジニア向けの資格試験となってなります。
E資格試験範囲は?
出題される試験範囲は、機械学習や深層学習(ディープラーニング)の知識を始め、開発環境や応用数学の理解など、専門的な内容を深く問われるような試験となっています。
E資格の出題分野は大きく分けて 4 つに分かれます。
大項目 | 内容 |
---|---|
応用数学 |
|
機械学習 |
|
深層学習 |
|
開発・運用環境 |
|
こちらの表を見て分かる通り特に深層学習(ディープラーニング)の分野に関しては、幅広く出題されます。
理論的な部分だけでなくコーディングに関する問題も多数出題されますので、そちらも対策が必要になります。
またディープラーニングの中身で使われている数学的理論も学習しておく必要があります。確率統計や特異値分解など、計算問題も出題されますので計算問題の対策も必須となります。
各分野の具体的な内容や細かい試験範囲については 1~2 年おきに更新されるので、ご自分が受験する回の JDLA のシラバスを確認して試験範囲の詳細な情報をキャッチアップしていきましょう。
E資格の問題形式は?
E資格の試験時間 120 分、問題数は 100 問で全問多岐選択形式となっています。
試験時間 120 分で 100 問なので 1 問あたりにかけられる時間は 1 分程度と、時間制限が厳しいのも 1 つの特徴と言えます。
また、選択式の問題とはいえ、実装のコードを問われる問題や計算問題なども出題されるため、しっかり内容を理解していないと正答できません。
E資格の合格率は?
以下はこれまでの開催回別の合格率の一覧となります。
出典:「E資格(エンジニア資格)2023#2」結果発表とシラバス改定のお知らせ
(「2020#2」は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により開催中止となりました)
近年の E資格の受験者と合格者をまとめた表となります。この一覧表だけ見ると、受験者の半数以上が合格しているので、合格することはそれほど難しくない資格だと考えられそうです。
しかし、E資格の受験者の大半は、すでにある程度機械学習の知識を持っていたり、実務でディープラーニングを使われている方もいらっしゃいます。
また、E資格の受験資格を得るためには、JDLA 認定プログラムを修了する必要があります。
JDLA 認定プログラムを修了した受験者の 3 割程度以上が不合格になることを考えると、合格率の数値以上に難易度の高い試験であると考えられます。
E資格の合格点は?
E資格では、合格点の公表はされていません。公式 WEB ページにも合格点は非公表である旨が記述されています。JDLA のもう一つの資格試験である G検定も同じです。
出典:「E資格(エンジニア資格)2023#2」結果発表とシラバス改定のお知らせ
上図は JDLA が公表している 2023#2 の全受験者の平均点になります。
各分野の正答率の平均はだいたい、60 %~70 %の間であることがわかります。
得点の配分なども公開されていないので、一概に正解数によると言えない部分もありますが、目安として 6~7 割が必要な最低ラインとして抑えておいていただくと良いかと思います。
E資格のメリット
就職や転職で有利になる場合がある
E資格の目的は AI 人材の育成となっています。
AI を含む先端 IT 人材は現状不足しておりこれからもどんどん不足していくことが予想されています。中でも貴重な存在として最も重要視されているのが、ディープラーニングを実装することが出来る AI エンジニアです。
E資格を取得することで、ディープラーニングの実装レベルまでの知識があるということの証明になり、今後のスキルアップやキャリアチェンジに有利に働く可能性があります。
ディープラーニングを実装レベルまで学ぶことが出来る
E資格取得を目指す一番のメリットは、ディープラーニングや機械学習の知識を実装レベルまで学ぶことが出来るという点です。
E資格の受験資格を得るためには、JDLA 認定プログラムの受講が必須条件となっています。
認定プログラムの受講を通じて、単に知識だけでなく、AI やディープラーニングに関する実践的なプログラミングスキルを習得することができます。
AI や機械学習、ディープラーニングなどについて独学で学んでいる方も、領域があまりに広いため、どの単元をどの深さまで学べば良いのか迷ってしまうこともあるでしょう。
E資格という一つの代表的な AI の資格取得を目指して勉強することで、幅広くバランスの取れた知識を習得することができます。
JDLAのコミュニティに参加することが出来る
E資格の合格者は、JDLA の主催している Slack などのコミュニティに参加することができます。
合格者の会である CDLE(Community of Deep Learning Evangelist)通称「シードル」などは、E資格や G検定の合格者しか参加できません。
コミュニティの目的として、情報共有をはじめ、ディープラーニングに関する幅広いテーマについて、メンバー同士が日々、学び合い・アウトプットの場となっています。
これらのコミュニティに参加することにより、ディープラーニングをともに学習する仲間を見つけたり、異業種や異業界の同じ目的を持つ方と繋がれたりと人脈づくりに役立てることもできるでしょう。
E資格合格者が振り返る不合格にならないよう抑えるべきポイント
学習時間をしっかり確保する
E資格に不合格になってしまう一番の原因としてあげられるのは、やはり学習時間をしっかり取れないというところになります。
E資格の受験者向けにとった学習時間に関するアンケートの結果では、「100 時間~200 時間」が 45.59 %と最も多く、続いて、「200 時間〜300 時間」が約 42.65 %という結果になっています。
仮に合格までに 200 時間の学習時間が必要だとすると、1 日 2 時間ずつ約 3 ヶ月間学習する必要があります。
決して簡単な試験ではないので、学習時間から逆算して E資格の学習に当てる時間を確保するようにしましょう。
※参照:Study-AI「E資格受験者(2021#1)を対象にE資格の難易度についてアンケート調査(独自)を実施しました。
深層学習の内容を押さえる
E資格にはコーディングの穴埋め問題なども出題されますので、ディープラーニングの実装について抑えておく必要があります。
深層学習のコーディング問題の対策については、ゼロから作るディープラーニングを使って学習することをおすすめします。
ゼロから作るDeep Learning ―Pythonで学ぶディープラーニングの理論と実装
こちらの書籍では、ディープラーニングの理論と実装をフレームワーク無しで解説しておりディープラーニングの中身をしっかりと学ぶことができます。
また、2022#2 からは新たに PyTorch や TensorFlow などのフレームワークを使った問題が出題されますので、そちらもしっかりと抑えておくようにしましょう。
フレームワークの問題の概要は
以下、JDLAの公式ページより引用となります。
なお、最新バージョンについても下記サイトをご参照ください。
E2022#2 より、PyTorch または TensorFlow を利用した実装も扱います。
試験開始時、試験問題が表示される前に PyTorch または TensorFlow を受験者に選択いただきます。選択していないフレームワークの問題は見ることができません。また、フレームワーク選択後の変更も不可となりますのでご注意ください。
E2022#2 出題問題は下記のバージョンで動作確認を行ったものとなります。
grad-cam==1.3.7
matplotlib==3.5.1
numpy==1.22.2
opencv-python==4.5.5.62
tensorflow==2.8.0
tf-explain==0.3.1
torch==1.10.2
torchinfo==1.6.3
torchvision==0.11.3
引用:E資格とは
問題集を反復して解く
E資格に不合格にならないために、沢山の問題に触れ知識を広げていく必要があります。
沢山の問題に取り組むためには、E資格の唯一の問題集である、徹底攻略ディープラーニング E資格エンジニア問題集 第 2 版(通称「黒本」)を使って学習することを推奨します。
こちらの書籍は、出題範囲を網羅的に抑えているため、取り組むことで必然的に沢山の問題に触れることができます。模擬試験も一回付いているので、本番においてどのような時間配分で取り組むのかの対策を立てていきましょう。
また、解説もわかりやすく詳しく書かれていますので、間違えた問題に関しては、しっかり解説を読み反復して学習することが合格への近道となります。
E資格に落ちた(不合格になった)場合の対処法
JDLA 認定プログラムを再受講する必要がない場合
E資格に落ちてしまった場合、E資格を再受験するために必ずしも JDLA 認定のプログラムを再度受け直す必要はありません。
JDLA 認定を修了後 2 年以内であれば、JDLA 認定のプログラムを受け直す必要なく、再受験する事ができます。
ただし、E資格受験料については一回の受験ごとに支払う必要があります。
一般受験料で税込み 33,000 円と決して安い受験料ではないので、落ちないようにしっかり対策してから試験に望むようにしていきましょう。
キカガクのJDLA認定プログラム
ディープラーニングハンズオンセミナー
キカガクが提供しているディープラーニングハンズオンセミナーは、JDLA より認定プログラムに指定されております。
ディープラーニングハンズオンセミナーを受講いただく大きなメリットを 3 つ紹介いたします。
1. ディープラーニングについて短期間で体系的に学べる
ディープラーニングハンズオンセミナーでは、機械学習やディープラーニングについて理論や実装について体系的に学ぶことができます。3日間という短期間で体系的な知識を得ることが出来るボリューム満点のコースとなっています。
2. 受講中は質問し放題
受講期間中は講師に直接質問することができます。
ハンズオン形式で学ぶ事ができるセミナーとなっていますので、受講期間中(3 日間)は講師に直接質問することができます。
3. E資格の対策が充実
ディープラーニングハンズオンセミナーに参加された方皆様に、先程例題としてお見せした E資格事前学習テストをはじめ、E資格対策コースとして、20 時間分の E資格対策動画を無料で付与いたします。
筆者は E資格の受験の直前期にこちらの E資格事前確認テストと徹底攻略ディープラーニング E資格エンジニア問題集を使用していました。
コース紹介
キカガクのディープラーニングハンズオンセミナーは、3 日間のリアルタイムオンライン研修と eラーニングの 2 種類をご用意しております。
【JDLA E資格認定講座】ディープラーニングハンズオンコース(オンライン研修)の詳細はこちら
【JDLA E資格認定講座】ディープラーニングハンズオンコース(e ラーニング)の詳細はこちら
終わりに
今回の記事では、E資格に落ちないために抑えておくべきポイントを中心に解説しました。
これから AI の社会実装が進んでいく中で、AI を深く理解し、実践的に活用できる力はますます重要になるでしょう。E資格取得を目指すことは、そのスキルを客観的に証明する有効な手段です。
AI に興味がある方、キャリアアップを狙いたい方は是非 E資格の受験を検討されてみて下さい。E資格の難易度が高い、と感じられた方は、ぜひまずは G検定を目指すところから始めてみるのもおすすめです。
また、キカガクでは上記以外にも、研修をご用意しております。
例えば、キカガクの研修の特徴でもお伝えした実際の実現場の課題をテーマに上記コースで学んだことを活用していく PBL 研修等です。
このようなキカガクのサービスの特徴やコース詳細についての資料にて詳しくご紹介しております。コースごと学習内容の詳細やスケジュール等や今回ご紹介してきれていないコースやサービスもご用意あります。
E資格向けを検討されている方のご参考になれば幸いです。
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