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【事例:ChatGPT 研修】生成AIの本質を理解し実践できるDX人材を育成!「手を動かす」研修で高い満足度を実現
ヤンマーホールディングス株式会社(以下、ヤンマーホールディングス)は、生成AIを理解し日常的に活用できるビジネス人材と、自社情報を活用した生成を可能にするRAG(Retrieval Augmented Generation)※を組めるエンジニアを育成するためにキカガクのChatGPT研修を導入しました。
研修は、ビジネス人材向けのChatGPT研修と、エンジニア人材向けのAzure OpenAI Service活用研修の2種類。手を動かすワークやインタラクティブにやり取りできる質疑応答の比重を高め、大変高い満足度を得ました。
今回は、生成AIを中心としたAI活用を推進するAI戦略推進部の山根様へのインタビューから、研修導入の背景や研修内容、今後の展望をお届けします。
※RAG(Retrieval Augmented Generation):大量のドキュメントの中から関連する情報を抽出し、それをもとに自然言語で回答を生成する技術。ChatGPTの元となった技術の1つ。
目指す育成ゴールと課題
生成AIの活用度を高めるために、ビジネス人材とエンジニア両方の育成が必要だった
山根様が所属されている部署について教えてください。
当社では2022年にデジタル戦略推進部を立ち上げており、私は当初から同部署に所属しDX推進に取り組んでいました。2024年4月にはグループ全体でAIの活用度をより高めていくためにAI戦略推進部が創設され、現在はその中のビジネスアナリティクスグループのマネージャーを担っています。生成AIを含めたAIの活用をグループ全体に展開していくことがミッションです。
どのような人材を育成したいと考えていましたか?
大きく2つあります。1つは、生成AIを実際に活用し、業務効率化を実現できるビジネス人材です。生成AIがどういうものかを理解し、その有用性を引き出せる人材ですね。
もう1つは、RAGを自分たちで組めるスキルを持ったエンジニアです。技術を理解し、社内の情報を活用した生成AIを作れるようになりたいと考えています。
そういった人材を育成したいと考える背景を教えてください。
生産性の向上や新たな価値創出のためにAI活用は必須であり、それが企業としての差別化要因にもなると思っています。すでに様々な業務で生成AIを含むAI活用を進めているのですが、一方で課題もあります。
現在、セキュアな環境で利用できる生成AIを用意し希望者に提供しているのですが、毎週使っているのは10〜20%程度にとどまっており、最大限活用できていない人も多いのが実情です。生成AIがどういうものか分からない、プロンプトの書き方が分からない、といった声もあります。日常的に当たり前に使うベースを作りたいと考えています。
さらに、生成AIのポテンシャルを最大限引き出すためには、社内情報を元にした生成が必要です。そこで、社内でRAGを組めるようにしたり、ベンダーと協働するとしても丸投げにならないようにするために、RAGの仕組みの理解や技術的な知識を身につけたい。RAGの社内開発・活用に向けてスピード感を持ってPDCAを回すためにも、内製化できる部分はしていくほうが好ましいと考えています。
キカガクを選んだ理由
生成AIの本質の理解とカスタマイズ性の高さ、ヤンマーホールディングスが重視したポイント
キカガクの研修を選んだ理由を教えてください。
まず、本質や基礎の部分から学べるプログラムになっている点です。
「こういうときはこういうプロンプトがいい」といった表面的なテクニックは簡単ですぐに役に立ちますが、結局それしかできず、知識やスキルとして長持ちしません。
また、生成AIについては過度な期待をしているケースもあり、思ったほど精度がいい回答がでないとすぐに「使えない」と切り捨ててしまう方もいます。しかしながらそれは一面でしかなく、特性を理解してうまく使う視点が不足しています。そのあたりの認識を揃え、本質を押さえて自分に必要なプロンプトを作れるようになるのが重要です。
その点、ノウハウだけにとどまらない本質的な部分から体系的に教えてくれるところが魅力でした。
エンジニア向けの研修についても、いきなりプログラミングではなく「RAGとは」といった概念理解から入り、操作環境を触りながらさらに理解を深めたのち、高度なユースケースを元にした演習という構成になっていて、基本から応用までカバーできている点を評価しました。
もう1つの理由は、実施したい研修を実現できるカスタマイズ性の高さ・柔軟さです。今回の研修では、生成AIを実務で使えるようになることを重視していたため、研修内にワークを多く取り入れたほうが良いだろうと考えていました。
また、ビジネス人材向けの研修には幅広い方が参加するため、如何に短期間で効率的にエッセンスを学べるかということがポイントになります。
キカガクからはそういった当社のニーズや課題に合わせて柔軟なカスタマイズを提案していただいて、研修内容をすり合わせられました。他社は、基本プログラムが組まれていて変えられないケースも多かったので、この点は重要な選定理由になりました。
実施した研修と効果
手を動かす研修で生成AIへの理解と活用イメージを醸成、高い満足度を実現
具体的にどのような研修を実施したのでしょうか。
ビジネス職向けには、ChatGPT研修を実施しました。生成AIとは何か、何ができて何ができないのか、という基礎から、実際のChatGPTの画面を表示しながらどのように使うのかといった操作方法、プロンプトの組み方を説明していく、基礎〜活用までの講座です。
実務で使うイメージが湧くよう手を動かす時間を多く取りました。講師との対話が参考になったという声もありました。同種の研修についてはe-Learningで提供する企業も多いのですが、インタラクティブなやり取りを通して各々の疑問を解消できる構成は非常に価値が高いと感じました。
また、受講者へのアンケート結果では、「生成AIの仕組みを理解することの重要性がわかった」「背景の技術を理解したことで良いプロンプトを書きやすくなったといった」といった声が挙がり、当初の狙いも果たせています。
エンジニア向けには、Azure OpenAI Service活用研修を実施しました。ChatGPTやAzure OpenAI Serviceの基本操作から始まり、自分たちでRAGを組むために必要な知識全般のインプットからLLMシステム構築などの演習まで、幅広い内容でした。
研修の効果はいかがでしたか。
参加者のアンケート結果を見ると、満足度は非常に高かったです。まだ社内の生成AI利用率のデータが顕著に高まったわけではないのですが、研修によって利用イメージが湧いたという声もあり、効果が出てくると考えています。
研修を受けた人が活用を進めることで周りも刺激をうけるのではないでしょうか。定期的にこういった研修を実施して、基礎を身につけた上で活用できる人を増やしていきたいです。
エンジニア向け研修では、各々が自身で勉強していくための基礎知識を得ることができたので、今後実際の取り組みを進めることでスキルが定着していくと考えています。演習を通してどういう使い方ができるのかイメージがついたという声もあり、活用アイデアの幅も広がると思います。
RAGを組んで自社情報を元にした生成AIを作っていくという観点だと、実行可能性は確実に高まりました。RAGはチューニングが重要で、読み込ませるドキュメントの質が精度に影響します。そういうとき、裏側の仕組みを理解したうえで改善できるようになり、結果としていいアウトプットを出しやすくなりそうです。
今後に向けて
ビジネス人材とエンジニアのコラボレーションで価値創出を目指す、ヤンマーホールディングスの戦略
生成AIを活用できる人材の育成について、今後の展望を教えてください。
ビジネス人材に対しては、生成AIを正しく理解し、業務課題解決のための適切なテーマ設定ができるようにしていきたいです。それによって、組織全体へのAI適用の速度、質を高め、組織力の向上につなげたいと考えています。
また、大多数の社員が日常的に生成AIを含めたAIに触れられるようにしていきたいですね。そのための取り組みの一環として、DXへの関心が高い人が集まる社内コミュニティを立ち上げ、事例などを発信したり、興味と意欲がある人が手を挙げられたりする環境をつくっています。良い事例が増えればやりたい人も増えていき、一定の割合を超えたらキャズムを超え、全社的にテクノロジー活用が進むのではないかと期待しています。
エンジニアに対しては、推進者が現在の生成AI技術を正しく把握することで、ポイントを踏まえてよりスピーディーに取り組めるようにしていきたいです。
ビジネスの現場を理解したうえで技術を活用した課題解決アイデアを立案できる人材と、それらを形にするエンジニアを両方育てていき、コラボレーションを加速させていくことが重要だと考えています。
スペシャリストを育成してもテーマが出てこない、解くべき課題が見つからない、というのはよくあることです。そうならないために、ビジネス人材も「この技術で何ができて何ができないのか」を理解することが大事だと思います。
基本的には、ビジネス人材のDXリテラシーを高めて活用アイデアが生まれやすい環境を作り、我々のようなホールディングス全体のDX推進を担う部署がエンジニアとの橋渡しをしていき、組織力向上や新たな価値創出につなげていきたいと考えています。
最後に、キカガクのDX人材育成研修はどのような企業におすすめできるかお聞かせください。
まず、表面的なテクニックにとどまらず生成AIを本質的に理解したいと思っている企業におすすめですね。
また、e-Learningのような動画研修との違いでいうと、現場で疑問点や活用にあたっての問題意識が多く出てきている企業にもいいと思います。
講義がインタラクティブに進むので、使い方を教わりながら疑問をその場で聞けたり、他の人の質問から自身の理解度や活用イメージが増す機会となるためです。
カスタマイズ性の高さという点でも、キカガクは一番柔軟性がありました。課題やニーズに合わせて一緒に効果的な研修を作り上げていきたい企業にも魅力的だと思います。
最後に
最後までお読みいただきありがとうございました。
キカガクでは業界業種問わず 1000 社以上の企業に導入いただき、DX 人材育成における様々な課題解決をご支援しております。
業界業種多種多様な業界 20 社以上の育成事例もご紹介しておりますので、ご興味のある方はぜひご参考ください。
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