【概要と実例を紹介】多変量解析をわかりやすく解説!

【概要と実例を紹介】 多変量解析についてわかりやすく解説!

こんにちは、機械学習講師の有吉です。この記事では多変量解析について下記の方を対象に解説します。

こんな人におすすめ
  • 多変量解析を使って分析をしてみたい
  • 多変量解析の種類と概要を理解したい
  • 多変量解析の実例を知りたい

1.多変量解析の基本概念

1.1 多変量解析の紹介

多変量解析は、一言で言うと、多くの変数が関与する複雑な問題を解決するための一連の技術です。この解析を用いると、多くの変数間の関連性を見つけ出したり、一部の変数が他の変数にどのように影響を及ぼすかを明らかにすることができます。これは、ビジネス、科学、医療、社会科学など、多くの分野で非常に役立ちます。

例えば、製品の販売に影響を与える多くの要素(価格、広告、競合他社の製品、季節性など)を考えるとき、どの要素が最も影響力があるのか、またどの要素が他の要素と関連しているのかを理解するために多変量解析を使用することができます。

要するに、多変量解析は私たちが複雑な問題をより深く理解し、より効果的な決定を下すための強力な道具となります。

1.2 変量とは何か

変量とは、観察や測定可能な特性や要素のことを指します。これは、私たちが対象とする状況や現象について情報を提供します。例えば、人の体重、自動車の燃費、製品の価格などはすべて変量です。これらは全て数値化可能で分析可能です。

多変量解析においては、複数の変量が一度に考慮されます。これは、変量間の関係を理解したり、複数の変量からなるパターンやトレンドを発見したりするために重要です。例えば、喫煙習慣と体重がどのように関連しているかを理解するためには、これら二つの変量を一度に考慮する必要があります。また、製品の価格とその売上量、広告費の三つの変量を一度に考慮することで、どの要素が売上に最も影響を与えるかを理解することができます。

結論として、変量は私たちがデータから意味を引き出す基本的な”原材料”です。それらを理解し、適切に扱うことで、私たちはより深い洞察を得て、より良い決定を下すことができます。

1.3 多変量解析の適用例

健康管理と疾患予防

健康研究の分野では、多変量解析は一人の患者の病気のリスクを評価するための重要なツールとなっています。例えば、心臓病のリスクは年齢、体重、喫煙習慣、運動量、食事、遺伝など、多数の要素によって影響を受けます。多変量解析を用いることで、これらの要素がどのように組み合わさって病気のリスクを高めるかを評価することができます。これにより、医療専門家はリスク要因をより効果的に管理し、予防策を立てることが可能となります。

ビジネス戦略の策定

ビジネスの世界でも多変量解析は広く活用されています。例えば、製品の売上を最大化するためには、価格、製品の特性、広告、競合他社の行動など、多くの要素を考慮する必要があります。多変量解析を使用すれば、これらの要素がどのように売上に影響を及ぼすか、またこれらの要素がどのように相互作用するかを理解することができます。これにより、企業は最適な価格設定、製品改善、広告戦略を策定することができます。

2 多変量解析の手法

2.1 主成分分析 (PCA)

主成分分析(PCA)は、多変量解析の中で最も広く用いられている手法の一つで、データの次元(変数の数)を減らすことを目的としています。

私たちが多数の変量を持つデータを扱うとき、それらの間のパターンや関係性を理解するのは難しいことがあります。ここでPCAが役立ちます。PCAは、元の変量を新しい一連の変量(これらを主成分と呼びます)に変換する手法です。

この主成分分析の一連の新しい変量(主成分)は、最も重要な情報(つまり、データの変動性が最も大きい方向)を最初に捉えるように順番付けられます。これにより、最初の数個の主成分だけを使ってデータの概要を理解することが可能となります。これが、主成分分析が”次元削減”手法と呼ばれる理由です。

主成分分析の適用例

顧客セグメンテーションは、主成分分析が効果的に使用される一例です。例えば、大手スーパーマーケットチェーンは数千の製品を取り扱い、各顧客がどの製品を購入したかの詳細なデータを持っています。各製品を一つの変量と考えると、このデータセットは数千の次元を持つことになります。

主成分分析を用いると、このような高次元のデータを扱いやすい形に変換することが可能となります。PCAは、顧客の購買パターンに関する最も重要な情報を捉える新しい変量(主成分)を生成します。これらの主成分を用いて、顧客を意味のあるグループ(セグメント)に分けることができます。

このように、主成分分析は多次元データを理解しやすくするための強力なツールとなります。

こちらの記事でPythonによる主成分分析の実装を行っておりますので参考にしてください。

参考サイト

こちらの記事でPythonによる主成分分析の実装を行っておりますので参考にしてください。

参考 【Pythonで行う】主成分分析(PCA)https://corvus-window.com/python_pca/

3.2 因子分析

因子分析は多変量解析の一つで、観察される多数の変数を、少数の未観測変数(因子)にリンクすることを試みます。これらの因子は、観測変数の背後に存在する潜在的な構造やパターンを捉えます。

因子分析の目的は、データの次元を減らすことだけではなく、データ内に存在する本質的な構造やパターンを理解することにもあります。したがって、因子分析は主にデータの解釈や理解を深めるために用いられます。

主成分分析との違い

主成分分析(PCA)と因子分析は似ているように見えるかもしれませんが、重要な違いがあります。PCAはデータの分散を最大限に保つ新しい変量(主成分)を見つけることを目指しています。一方で、因子分析は観測データの背後に存在する潜在的な変量(因子)を特定しようとします。これらの因子はデータの構造を説明し、観測変数間の相関関係を解釈するのに役立ちます。

因子分析の適用例

心理学の研究における因子分析の使用は一例です。例えば、人格特性を測定するための質問紙は多くのアイテム(質問)を含んでいることがあります。これらのアイテムをそれぞれ別の変量と考えると、データの次元数は非常に大きくなります。

因子分析を用いると、これらの多数のアイテムを少数の因子(ここでは「人格特性」)にまとめることができます。たとえば、「社交性」、「開放性」、「誠実性」などの因子が特定されることがあります。これらの因子は、アイテム間の相関関係を説明し、アイテムが測定しようとしている潜在的な構造(この場合、被験者の人格)を理解するのに役立ちます。

因子分析は、観測データの背後に存在する潜在的なパターンや構造を理解する強力なツールです。それにより、私たちはデータをより深く理解し、より有用な情報を抽出することが可能となります。

参考サイト

こちらの記事でPythonによる実装を紹介しておりますので参考にしてください。

参考 【Pythonで行う】因子分析https://corvus-window.com/python_factor-analysis/

3.3 クラスター分析

クラスター分析は、データを類似した特徴を持つグループにまとめる手法です。データ間の相似性や距離を計算し、それに基づいてデータをクラスターに分類します。クラスター分析の目的は、データの内部構造やパターンを把握することにあります。クラスター分析を通じて、データの相関関係や類似性を見つけることができます。

クラスター分析の適用例
  • マーケティング: 顧客セグメンテーションにおいて、顧客の特徴に基づいて類似したグループを作成し、ターゲティングやマーケティング戦略を立案します。
  • 生物学: 遺伝子データやタンパク質データなどの生物学的データの解析において、類似した特徴を持つサンプルや生物種をグループ化します。
  • データマイニング: 大量のデータから類似したパターンや傾向を抽出し、データのクラスタリングや分類に利用します。

クラスター分析はデータの内部構造を可視化し、パターンを理解するのに役立つ手法です。また、クラスター分析の結果を基に意思決定や戦略立案を行うことができます。

参考サイト

こちらの記事でPythonによるクラスター分析の実装を行っておりますので参考にしてください。

参考 k-means法のpythonによる実装とクラスター数の決定方法 エルボー法、シルエット分析https://laid-back-scientist.com/k-means

3.4 多変量回帰分析

多変量回帰分析は、複数の説明変数と1つの目的変数との関係を調べるための統計的手法です。これは、説明変数が目的変数にどのように影響を及ぼすかを理解し、予測分析や要因分析を行います。

多変量回帰分析では、独立変数と従属変数の間の線形関係をモデル化します。モデルは、各説明変数の係数(回帰係数)と、モデルの切片(定数項)から構成されます。回帰係数は、説明変数の値の変化が目的変数にどのような影響を与えるかを示します。

多変量回帰分析は、実際のデータからモデルを構築するために最小二乗法などの統計的手法を使用します。構築されたモデルは、独立変数の値が与えられた場合に、従属変数の値を予測するために使用できます。多変量回帰分析として主として重回帰分析とロジスティック回帰分析が使われます。

重回帰分析とロジスティック回帰の違い

重回帰分析は、連続的な数値を持つ目的変数を予測するために使用されます。例えば、家の価格を予測するために、広さ、部屋数、立地条件などの複数の説明変数を使用することができます。

一方、ロジスティック回帰は、二値変数やカテゴリカル変数を持つ目的変数を予測するために使用されます。つまり、予測する変数が2つのカテゴリ(例えば、合格・不合格、購入・非購入)のいずれかに分類される場合にロジスティック回帰を使用します。例えば、広告の効果を予測するために、広告費やターゲット市場の特性といった説明変数を使用することができます。

多変量回帰分析の適用例

経済学やビジネスの領域における多変量回帰分析の使用は一例です。たとえば、ある企業が製品の売上を予測する際に、価格、広告費、競合他社の動向、季節性など、多くの変数を考慮する必要があります。これら全ての変数を同時に考慮するためには、多変量回帰分析が役立ちます。

この方法を使用すると、各変数が売上にどの程度影響を与えるのか、また各変数間でどのような相互作用があるのかを明らかにすることができます。この知識を持つことで、企業は適切な価格設定を行い、広告戦略を計画し、製品の売上を最大化するための戦略を立てることができます。

多変量回帰分析は、多くの要素が複雑に絡み合った現象を理解し、予測するための強力なツールです。それにより、我々は多次元の情報を統合し、より有益な結論を導くことが可能となります。

多変量解析の利点と限界

利点

多変量解析は複数の変数を同時に分析することが可能なため、データの中にある複雑なパターンや構造を見つけ出すことができます。これにより、単変量解析では見落とすことのある重要な情報を発見したり、変数間の相互作用を理解したりすることが可能となります。

また、多変量解析は一連の変数を一度に扱うため、問題解決のためのより包括的なアプローチを提供します。

限界

一方、多変量解析にはいくつかの限界もあります。まず、適切な解析を行うためには大量のデータが必要で、さらにそのデータは品質が高くなければなりません。データが不十分または品質が低いと、不正確な結果や誤解を生む可能性があります。

また、多変量解析の手法は複雑で、統計的な知識や専門的なソフトウェアが求められることが多いです。これらの要求は、多変量解析を使用する際の障壁となる可能性があります。

参考サイト

こちらでPythonによる重回帰分析を学ぶことが出来ます。

Python&機械学習入門コース

登録はこちら

またこちらの記事でPythonによるロジスティック回帰分析の実装を行っておりますので参考にしてください。

参考 【Pythonで行う】ロジスティック回帰分析https://corvus-window.com/python_logistic-regression-analysis/

4. まとめ:多変量解析の有効性とその適用

今回の記事では多変量解析のそれぞれの手法について概要説明と適用例についてまとめました。これらの手法を駆使してデータ分析を進めてみてください!

こちらの記事もオススメ

まずは無料で学びたい方・最速で学びたい方へ

まずは無料で学びたい方: Python&機械学習入門コースがおすすめ

Python&機械学習入門コース

AI・機械学習を学び始めるならまずはここから!経産省の Web サイトでも紹介されているわかりやすいと評判の Python&機械学習入門コースが無料で受けられます!
さらにステップアップした脱ブラックボックスコースや、IT パスポートをはじめとした資格取得を目指すコースもなんと無料です!

無料で学ぶ

最速で学びたい方:キカガクの長期コースがおすすめ

一生学び放題

続々と転職・キャリアアップに成功中!受講生ファーストのサポートが人気のポイントです!

AI・機械学習・データサイエンスといえばキカガク!
非常に需要が高まっている最先端スキルを「今のうちに」習得しませんか?

無料説明会を週 2 開催しています。毎月受講生の定員がございますので確認はお早めに!

説明会ではこんなことをお話します!
  • 国も企業も育成に力を入れている先端 IT 人材とは
  • キカガクの研修実績
  • 長期コースでの学び方、できるようになること
  • 料金・給付金について
  • 質疑応答