こんにちは!株式会社キカガクの和泉です。
普段は機械学習・ディープラーニングの講師をしています。
突然ですが皆さん、最近ディープラーニングの技術で話題になっている自然言語処理って知っていますか?
皆さんの身の回りにも、スマートスピーカーやお問い合わせのチャットボットサービス、機械翻訳など言語を扱う AI がたくさんあるかと思います。
実は近年、この自然言語処理という分野の発展がめざましく、注目を集めています。
今回は、自然言語処理の仕組みの基礎から、その進化を感じられるサービスまでを紹介します。ぜひ本記事を読んで、実際にその力を感じてみてください。
参考
LINE、NAVERと共同で、世界初、日本語に特化した超巨大言語モデルを開発
参考
日本語GPT-2/BERTの事前学習モデルを開発しオープンソース化
自然言語処理のしくみ
自然言語処理とは、簡単にいうと私たちの使う言葉を AI で処理することです。文章を要約したり、機械で言語を翻訳したり、もしくは会話をするものも開発されています。
AI の仕組みは数値計算なので、実際には言語を数値化してから AI に入力し、要約や翻訳の処理をかけた後で、出力された数値を言語に変換したものを、私たちは受け取っています。
なので、AI があたかも言葉を理解しているように見えるのですが、実際には人間の処理と近いことを AI で再現できているということなのです。
出典:Wikipedia
例えば古典的な会話 AI として、1964 年に開発された ELIZA と呼ばれるシステムがあります。これは単に人間の言葉をオウム返しをして返答するだけのチャットボットです。
しかし、オウム返しだけでも、対話者はまるで本物の人間と会話しているかのような錯覚(イライザ効果)に陥ることが知られています。
そして、近年の自然言語処理の技術発展の結果、現在の AI は錯覚どころではなく人間と遜色ないレベルでの会話をすることが可能になっています。
自然言語処理を使った最新のサービス 5 選
それではここから、自然言語処理を使った最新のサービスをみていきましょう。今回は5つのサービスについて紹介します。
スナックママ よしこ
出典:株式会社 洋服の青山
まずは、最も基礎的なチャットボットです。こちらは、選択肢の中から悩みを選ぶと、スナックママ AI が決まった答えを返すというサービスになっています。先に紹介したイライザと似たようなチャットボットといえるでしょう。
定型文を入力して定型文を返すので、自然言語処理の中でも基礎的な技術が使われていると考えられます。
文章要約 AI ELYZA DIGEST
出典:ELYZA DIGEST
次は、東京大学の松尾研究室発のスタートアップ企業 ELYZA が開発した、文章要約 AI です。要約は、言葉の意味だけではなく文と文の関係である文脈も特徴として捉えなければいけないため、AI で処理するのは難しいタスクです。
しかし、この ELYZA DIGEST はかなり高い精度で文章を要約することができます。
ウェブブラウザ上で体験できますので、ぜひみなさんも試してみてください。
りんな
出典:株式会社 りんな
女子高生 AI として一世を風靡したチャットボット AI です。登録ユーザー数 830 万人という日本一有名な元女子高生です。
公式サイトによると、自然な会話を行う会話エンジン「共感チャットモデル」や、具体的で内容のある雑談を返答する「コンテンツチャットモデル」を搭載するなど、自然言語処理としても年々進化しているサービスです。
最近では、歌手活動や占いまで手掛けて、アーティストの MV や Youtube にも出演しています。週刊少年ジャンプの人気マンガとのコラボも発表され、ますます今後が楽しみですね!
大喜利 AI
出典:株式会社 わたしは
こちらは、株式会社わたしはが開発した大喜利を行う AI です。本物の漫才師のような「ボケ」や「ツッコミ」はもちろんのこと、写真に対しても大喜利を展開することができる AI です。
プロダクトの内部構造までは明かされていませんが、もちろん内部では自然言語処理が使われています。問いかけられた意味にピッタリと当てはまる正解でもなく、大きくズレる不正解でもない、ちょうどよく意味をズラすことを、数理プログラムとして処理しているところに驚きます。
人間でさえ言語化するのが難しいタスクを AI で行う同社のサービスからは、今後も目が離せませんね!
エアフレンド
9 月にリリースされると、またたく間に LINE の登録者数が増え、複数のメディアで取り上げられた対話型のチャットボットです。
ユーザーが AI を作成して、好みの口調で話すように育成できるところが注目のポイントです。また、作成した AI 同士に会話をさせることも可能となっています。
私も今回、このエアフレンドを使って AI を作成してみましたので以下に紹介します。
エアフレンドを育ててみた
まずは、エアフレンドを LINE で友達登録します。チュートリアルに従って、「作成ボタン」から任意の名前をつけて AI を作成します。
今回は、アニメ「るろうに剣心」の主人公である緋村剣心を作成することを目標に育てていきます。
まずは、通常の会話を行ってみます。
初めは、このように定型文での会話しかできません。
どの技が好きかという問いかけには、まさかの「斬撃系」と返してくるなど、まだまだ人斬りの心が抜けていませんね。
しかし、答えさせたい口調や返答を教えていくと徐々に口調が変化していきます。
このように、教えていない返答に対しても口調が引き継がれていくことで、あたかも想定した人格に育っているように感じます。
まだまだ普通の受け答えもあるので育成途上ですが、このようにして自分好みに AI を育てられるようになると、自然言語処理の技術がぐっと身近に感じますね。
最後に
いかがだったでしょうか?近年、自然言語処理の発展は国内でも盛り上がってきました。今回紹介したようなサービスはほんの一例にしかすぎません。
ぜひ皆さんも自然言語処理の技術に注目して、これらのサービスを使ってみてください。日本の自然言語処理の発展をユーザーとして盛り上げていきましょう!!
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