これが現場のリアル!DX 推進部 50 名に聞いた DX の進め方

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これが現場のリアル!DX 推進部 50 名に聞いた DX の進め方

DX の進め方ついて、中々自社にあったものを見つけることは難しいです。自社にあった、かつ実活用につながるような DX 推進をしていくには最初の目標策定が重要になってきます。本記事では、DX 推進部に聞いた DX 進め方について解説いたします。人事部、DX 推進部、経営者の方々はぜひご参考ください。

DXとは

DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは

 経済産業省が提唱する定義は次のようになっています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、 顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

出典 : 経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」

この定義について噛み砕くと、「データとテクノロジーを活用し、ビジネスモデルを始めとした様々な領域で変革を起こして、自社の競争優位性を高めること」と解釈できます。

また、DX には次の 3 Step があります。

  1. Digitization(デジタイゼーション)
  2. Digitalization(デジタライゼーション)
  3. Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)

Digitization(デジタイゼーション)とは、つまりデジタル化のことです。例えば Speech to Text 等を使用して手書きのメモをしない、紙を完全撤廃する等のアナログからデジタルへの移行をさします。

次に、Digitalization(デジタライゼーション)ですが、デジタルツールや API を活用して、業務効率を図る Step になります。例えばコミュニケーションをメールではなく Slack をつかったり、勤怠管理や顧客管理を業務システムに移行したりすることを指します。

その最終 Step として、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)、つまりデジタル化による組織変革を実施し、データ分析や最新技術を使用し、社外向けにサービスを提供できている状態になります。

DX のメリット

様々ある DX のメリットですが、よく言われる一部をご紹介します。

業務効率化による人材不足対策やコストカット

Digitalization(デジタライゼーション)ともつながるのですが、DX を実施することのメリットは、まず業務効率化によるコストカットです。現システムはアナログのまま最適化はされているもののデジタルによる根本的な業務効率化の施策がとれていない企業は多いです。仮に導入できれば圧倒的な業務改善ができ、現リソースを別のことに使用できたり、人材不足の課題解決にも繋がります。

デジタルサービス販売によるマーケットの拡大

「自社の強み × 最新技術の使用」により、市場を一変させるようなプロダクトを開発している企業がでてきています。Amazon の AWS の開発秘話のように「自社が課題としてもっていることは、業界も課題としてある」ということです。つまり、自社課題を抜本的に解決できるシステムを開発すれば、それは業界にとってもボトルネックを解決しうるプロダクトになり、一気に市場を変えられる可能性を秘めています。

DX の成功事例

DX に成功している企業事例をご紹介いたします。DX 認定企業という制度 から DXグランプリに選出された不動産業を営む SRE ホールディングス株式会社の事例をみていきましょう。

不動産業:SREホールディングス株式会社

自社不動産事業のスマート化

不動産メンバーとエンジニア、現場からマネジメントレベルまで全社で協力体制を構築し、「AI 不動産査定ツール」や売買契約書や重要事項説明書の作成をスマート化する「不動産売買契約書類作成クラウド」をアジャイル開発する等、全社で DX を推進。その結果、顧客満足度の向上につながり、ニーズに応じた質の高いサービスを提供することに成功しました。

AI SaaSプロダクトの外部提供

自社不動産事業のスマート化の過程で「データエコシステム」を構築し、クラウドツールの契約数や解約率にて結果をだす。今後は外部パートナー企業とのデ―タアライアンスにより、不動産領域以外の多様な産業の DX を推進する AI SaaSプロバイダーへ進化しています。

DX 人材育成

DX 推進の意義について、社長自ら全社員に対し発信するだけでなく、人事評価体系に DX への貢献度を追加。社内のデジタル人材を講師とした AIデータサイエンティスト研修にも注力しており、それらの研修をブラッシュアップ、パッケージ化して外販も実施しています。

 ※出典:デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2021

DX の進め方。まず何からはじめるか?

SREホールディングス株式会社のように自社業界だけでなく、他業界にまで進出するような成長を DX にて遂げた企業があります。ではそういった企業はどう DX を進めていったのでしょうか。

まずは DX を進めている企業はどこから進めていったかをみてみましょう。弊社が情報システム部 50 名の DX 推進担当者に実施したアンケートで、「DX 推進にあたり、まず何から着手したか?」について調査しました。

ロードマップの作成

  1. 経営層の承認を得るために中期計画を作成した。並行して組織強化に着手した
  2. 個々の DX プロジェクトや担当者/チームの組成とその前段として DX 全体のコンセプトとビジョン、およびロードマップの策定
  3. IS 部門と biz 部門と経営層が共通理解を持つための自社における DX の定義を明確にし、役員含めコンセンサスを取った
  4. 最終的な姿を描き、それに向けて何を対策として進めるのかといった計画から始めた

実情把握と業務の棚卸し

  1. 全社の各部門への課題発見ヒヤリングの実施。 スタッフ部門への業務負荷に関するヒヤリング 、営業部門への営業活動を阻害する要因に関するヒヤリング
  2. まずは、業務の棚卸しから始めました。 DX を検討する前に現状の業務がどのような役割分担でどうやって進められているかを調べた
  3. 各社員の業務内容のリアルな実態の把握と使用しているデジタルツールの見直し
  4. 1,000 以上ある社内システムの整理(運用費がいくらなのかなども)

デジタル化

  1. 働き方改革を推進するにあたり、業務効率化に繋がる部分のIT化から取り組みを開始
  2. 紙の完全なる廃止。全てのドキュメントの電子化
  3. 契約書、納品書、請求書等の紙文書のデジタル化

組織の立ち上げ/人材の確保

  1. トップを含めた社内キーステークホルダーの巻き込み
  2. 現在有るリソースを有効活用できることから探しだし、費用掛けずに DX としてプロジェクト化した
  3. DX 組織の立ち上げと人材の獲得。その人材をリーダーとして、社内教育の実施、および DX の改善実行
  4. AI のテクノロジを理解し、業務に適用できる人材の育成および DX を進めていくためのチームの編成に取り組んだ

ツールの導入

  1. DX の礎とするための Cloud platform の導入と体制、基盤作り
  2. 日常一番身近に使ってもらえるグループウェアの導入
  3. 社内で使うシステムから序々に変更していき、デジタル化を実感しつつ進めた
  4. 投資金額が少なく、効果が高い、かつ経営陣が効果を認識しやすい RPA から着手した

まとめ

DX の進め方のポイントとして共通していることは、「調整」ということが重要になりそうです。

  • 大規模投資をするのであれば、関係者を巻き込み DX の必要性を説いていく。そして徐々にロードマップを作成し、関係各所への調整を実施する
  • 小規模投資であれば、「簡単に、便利に」を合言葉にした効果の高い施策から実施し、経営陣及び現場のコンセンサスを獲得していく

DX を推進する上での手順や実現方法を以下の記事でご紹介しておりますので、ぜひご参考ください。

DX を進める際の壁

弊社実施のアンケートにて、「施策のボトルネック」についても調査しました。調査結果から DX を進める際の壁が見えてきました。

経営層とのコミュニケーション

  • 役職員の経験が新しい発想や新プロセス等を推進するにあたりボトルネックとなり前に進めない。過去の業務と比べたがる担当者を説得、納得させる事
  • 投資対効果を数値で説明し、承認を得なければならなかったこと
  • ビジネス部門の担当者は現行の課題改善を意識した行動を行う。経営者は中長期の事業戦略から計画を進める行動を行う。つまり、両者のギャップを埋めること
  • 経営層、事業部長の IT リテラシーの低さ、および DX・IT への理解の浅さ
  • 明確な経営課題を設定できぬまま DX を進めようとしたため、手段が目的になってしまっていた

現場とのコミュニケーションや業務理解

  • 既存業務のやり方を変更するにあたり、社員から不安の声や抵抗感が発生。 情シス部門についても新しい知識習得へ前向きなスタッフと抵抗感が出るスタッフが出た
  • 自らの業務に無関係と思い込むデジタルに対する主体性のなさ、スキルの不足 、学習機会の不足
  • 各部門の意識を統一することとDX推進の価値を浸透させることが重要
  • 会社にDXの重要性を理解してもらうこと。既存で上手くいっている場合に受け入れてもらうことが難しい
  • 業務の棚卸しは最も大変な作業でした。 ヒアリングだけでは分からず、現場で業務の遂行状況を見て整理をしていきました

方向性や優先順位の策定

  • 自社内でまず何から取り組むべきかの方向性を出すところに苦心しました
  • どこから着手するかの優先順位をつけるのが難しい
  • 人材育成と具体的な案件の発掘です。 IT 系のリテラシーが高い会社ではないので、推進者に役割を持たせてもネタがあがってこない状況でした
  • 経営陣も推進担当者も DX という言葉ありきで、具体的にどのようなことを進めていくべきなのかその目標が見えない
  • 経営層の理解不足、中間管理職層の理解と説明の多さ、最初に何をすべきかのコンセンサスを取ること(やる前から成果を求めるところとの折り合いをつけるところ)

人材不足

  • DX を正しく理解して社内活動できる人材がいなかった
  • 他の優先課題やプロジェクト・業務とのリソース調整・リソース制限/不足
  • 単なる IT スキルでなく、トランスフォーメーションを企画、推進できる人材の確保、育成
  • DX スキル、マインド、経験を有する人材が圧倒的に不足していたこと
  • 内製するためのエンジニアが不足している状況

まとめ

DX を進める際、様々なことが課題としてあがってきます。まず何から着手するか?のところにもありましたが、一番の壁は「人の認識」です。この壁を突破するには、上記進め方にあげた「小規模での実施」というのが一番の現実ラインになってきます。ぜひ自社のボトルネックとなっているところを照らし合わせていただき、自社にあった DX の進め方のご参考いただけますと幸いです。

【アンケート調査:情シス部】DX 推進・スキル・育成における成功事例と失敗事例のリアル

本記事でもご紹介しました、「アンケート調査」についてご確認いただけますのでぜひご参考ください。現場のリアルの声を確認することができます。

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