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【事例:マネジメント層向けDX研修】DX推進人材との「共通言語化」で、変革が進む組織へ。静岡ガスが挑む管理職向け教育
静岡ガス株式会社(以下、静岡ガス)は、2025年までに「デジタルを活用した業務改革を推進でき、業務で扱うデータを正しく解釈できる管理職」の育成を目指し、キカガクの研修を導入しました。その結果、プロジェクトマネジメントや要求定義の知識が体系的に整理され、社内でのデジタル活用に関する相談が増加。さらに、部下からの提案をより受け入れやすくなるなどの変化が見られています。
同社がマネジメント層向けのDX研修を導入した背景やその効果について、経営戦略本部デジタルイノベーション部の中村様、櫻井様にお話を伺いました。
なお、静岡ガスでは、デジタルを活用した業務改革の推進を中心となって実行できる「トップコア人材」の育成もキカガクとともに取り組まれています。当該研修の事例は以下の記事でご紹介しています。
【事例:ビジネスアーキテクト育成研修】強力なプロジェクト推進力がDXを動かす!静岡ガスのDX推進人材育成戦略
目指す育成ゴールと課題
業務改革を恐れない管理職を育て、全社的に波及させていきたい
マネジメント層の人材について、どのような人材像をゴールとして設定していましたか?
中村様:2025年までに、デジタルを活用した業務改革を推進でき、業務で扱うデータを正しく解釈できる管理職の育成を目指しています。特に、データに基づく判断の重要性が高まっている中で、管理職がその理解を深めることが不可欠だと考えています。
また、マネジメント層への研修による会社全体への波及効果も狙いのひとつです。弊社で別途実施しているトップコア人材(DXプロジェクトを牽引するトップレベルのビジネスアーキテクト)研修は、立候補制で対象も少人数となります。一方マネジメント層のメンバーは各部署に在籍しているため、今回のような研修を実施することでDXプロジェクトを推進するための考え方が全社的に広がりやすいのではと考えています。
マネジメント層がリーダーとなってこの考え方を広げていくこと、さらにトップコア人材を含む推進人材と同じ前提知識を持てていることも重要だと考えました。
人材育成の先に、組織全体への影響を見据えていたんですね。
中村様:はい。私たちは今、組織全体で「変革に挑戦する風土の醸成」に取り組んでいます。社会インフラを提供しているという事業特性上、当社には安全・安心を重視する意識が根付いています。今後はその良さを残しつつ、デジタルを活用した業務改革などの新たな挑戦も重要になってきます。
組織風土を醸成すること、変革に向けたプロジェクトの推進力を高めていくこと、これらを考えたときに、管理職への体系的な知識のインプットが鍵になるのではないかと思い至りました。プロジェクトマネジメントや要件定義といった知識を、トップコア人材だけでなく管理職層全体で共有することで、組織全体の変革推進力が高まっていくと考えています。
キカガクを選んだ理由
管理職向け研修とトップコア人材研修、合わせて実施することで共通言語を作る
なぜキカガクの研修を選択されたのでしょうか?
中村様:いくつか理由がありますが、まず、キカガクが弊社の状況や働いている人の人物像をよく理解していて、私たちの意図を汲んだ提案をしてくださる点が大きかったです。
また、ライブ形式の研修で双方向のコミュニケーションが可能な点も魅力的でした。一方的な講義や、eラーニングだけでは本当に身になるのか懐疑的な部分があったので、研修選定にあたってはインタラクティブな形式でできるかを重視しています。
櫻井様:トップコア人材の研修も担当いただいているので、マネジメント層向けの研修も合わせて実施いただくことで、社内で共通言語を持てることも選択の理由です。統一した知識やフレームワークを持つことで、DXプロジェクト推進に向けてのコミュニケーションがスムーズになると考えました。
実施した研修について
部下の提案に建設的なフィードバックをするには?ワークで学ぶ実践的なアプローチ
具体的にどのような研修を実施されたのでしょうか?
櫻井様:プロジェクトマネジメントと要求定義の基礎を中心に、合計2日間の研修を6日程で開催。全体で180名のマネジメント層全員に受けてもらいました。
内容としては、データ分析に必要な個別のツールの使い方などではなく、マネジメントという立場において必要となる知識や思考を学ぶものになっています。座学だけにならないようワークを多く取り入れ、研修内で「得た知識を使う」ところまでできるような構成にしていただきました。
例えば、「部下からこういう提案があったらどうフィードバックするか」といったワークを取り入れ、実務に近い形で学べるようにしました。こういった実践や講師の方からのアドバイスを通して、部下の新しい提案をしっかりと後押しし、建設的なフィードバックができるようになることを意図しています。
研修の効果と今後の展望
デジタルを使った業務効率化の相談が増加。研修後に現れた嬉しい変化
研修を実施してみて、どのような効果がありましたか?
中村様:まず、なんとなく知っていたことが体系的に整理されたという声が多く聞かれました。プロジェクトマネジメントや要求定義について、これまで経験的に行っていたことが、きちんとした知識やフレームワークとして整理されたようです。
また、デジタル活用に関する相談が増加しました。業務上で課題を感じた際に、「デジタルでなんとかできないか」という発想を持つ人が増えたのです。例えば、「こういうソフトウェアや自動化ツールはないの?」といった素朴な相談が増えてきています。
さらに、メンバーレベルのDX推進向け研修と共通する内容を実施できたことで、この内容が共通言語となり、部下からの提案を受け入れやすくなる素地を整えられたと考えています。以前は新しい提案は「前例がない」と却下されることも多かったのですが、研修後はリスクを認識した上でどのように進めるのがいいか、という考え方をしやすくなっているように感じます。
参加者からはどのような声がありましたか?
櫻井様:ワークと講義のバランスが良かったという声が多く聞かれました。丸1日の研修が2日間にわたって行われるカリキュラムでしたが、ワークがスピーディーに重なっていくので聞いているだけの時間が少なく、集中して研修を受けられたようです。
また、そういったワークが多い構成になっていることで、学んだフレームワークなどを使ってのアウトプットまで経験でき、実践的な知識として身につけられたという感想もありました。
特にマネジメント層のDX教育について、今後の展望を教えてください。
中村様:前提として、来年(2025年度)は、2022年から取り組んできたDX研修の実践編として、過去の研修で学んだことを実際の業務で活用する機会を設けていくことを、管理職に限らず大きな方針として考えています。
その中で、管理職もこの実践にしっかり参加し、業務改善の実行に携わるというのが重要になると思います。これまで、知識として様々なものを伝えてきました。それを生きたスキルとして日々の業務の中で実践する流れをどう作るのか、事務局としても正念場だと認識しています。
同時に、学びと実践を継続的に続けることが、デジタル活用の文化を社内に浸透させていくためには欠かせません。実践重視のフェーズを経ることで、また新しい知識を受け入れる素地も整っていくのではないかと期待しています。このサイクルを回していくことで、業務変革による効率化や新たな価値の提供を実現していきたいです。
最後に
最後までお読みいただきありがとうございました。
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