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〜DX 人材育成方法を徹底解説〜企業の導入事例もあわせてご紹介!
DX は多くの企業で重要性の認識が深まり、いよいよ自社でも取り組む必要性を感じる方も多いのではないでしょうか。
DX を推進し成功している企業の共通点として、「DX人材育成」が大きく関わってきます。本記事では、DX人材育成を求められる背景から課題、解決方法を事例を交えてご紹介いたします。
DX人材とは?
そもそも DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、Digital Transformation の略称です。経済産業省では以下のように定義されています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
こちらを踏まえますと DX 人材とは、デジタル技術とビジネスの両方の知識を持つ人材のことと言えます。デジタル技術を活用して企業や組織を効率化し、競争力を高める取り組みができることを求められています。
DX人材育成が求められる背景
DX人材の不足
こちらは経済産業省がだしている先端 IT 人材のデータです。先端 IT 人材とは、ビッグデータ、人工知能(AI)、IoTロボット等の先端 IT 技術のサービス化や活用に対応できる人材を指します。
こちらの先端 IT 人材が 2025 年には約 36 万、2030 年には最大で 79 万人不足する可能性があると予測されています。DX 人材の需要が拡大していく事に対し、供給が追いついていないことが見てとれます。
出典:総務省(2022)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」
また、上記は各国の DX を進める上での課題や障壁の調査を行ったものですが、日本は「人材不足」において 約 70 % も課題に感じており、続いて「デジタル技術の知識・リテラシー不足」、「アナログな文化・価値観が定着している」となっています。
DX 人材育成の重要性
生産性・業務効率の向上
DX 人材育成による恩恵でよくあがるのが、生産性・業務効率の向上です。DX 人材育成により、新しい技術やツールを学ぶ機会が増え従業員のスキルレベルが上がります。これにより業務をより迅速かつ効率的に行うことができ、生産性・業務効率の向上につながります。
また、一部の繰り返し作業や時間のかかる作業を自動化することも可能となり、従業員はより高度で創造的なタスクに時間を割くことができます。例えば、高度なタスクとしてデータ分析等が挙げられますが、こちらに時間を割けることができより正確な情報に基づいた迅速な意思決定も可能になります。
新規ビジネスの創出
DX 人材育成を進めると生産性の向上が見込めるだけではなく「新たなビジネスの創造」にも期待できます。育成によってこれまでは取得できなかった知見が増え、扱えるデータ等が取れるようになり、このデータを基にして新しいサービスを開発することが可能になります。
新型コロナウイルス感染症などの外部要因を含めた変化が著しいマーケットを生き抜いていくためには、既存のスタイルからの脱却や新たなビジネスモデルの確立を目指すことが重要です。
人事においても例外ではありません。新たな人事データを取得することで、これまでできなかった個別最適化された人材育成を行うことが可能になったり、定量データに基づいた配置等を行うことが可能になります。
DX 人材育成の課題
DX 人材育成方法が分からない
DX 人材を確保する手段は、育成と採用が主にあります。ただ上記であげたように DX を推進できる人材は限られており、採用は進めつつも社内で DX 人材育成を進めることが定石となっています。ただ、どのような人材育成方法があるか、また自社に合う人材育成方法がどのようなものが良いか等、判断が難しい場面が多くあります。
何をどのように学べばいいか分かりづらい
DX という言葉自体が広義の意味をもっており、DX 人材育成を進めていく上でどの社員に対しどのような知識を身につけてもらい、どのような課題を解決してもらう等考えなくてはいけないことが山程あり、思うように進めることが難しかったりします。自社の学ぶ目的を最初に詰めておかないと実課題の解決に繋がらず、ただ学んだだけで終わってしまうことが多いです。
DX スキルを学んでも実務に活用できない
DX 関連のスキルを学んだとしても、実務に移せないケースは多々あります。特に全社員向けのリテラシー教育をする際にこのケースに陥ることが多く、学ぶ前に自社の何の課題を解決するために何を学ぶべきなのか、本当に学ぶことで解決できるのかを整理してからスキルを身につけることが重要です。
デジタルマインドセットの醸成
テクノロジーを日々の仕事に組み込むだけでなく、デジタル化を推進するための考え方や態度を持つ人材を育成することは、DX の大きな課題となります。デジタルマインドの醸成をするためには学ぶ前の動機づけが非常に重要であり、自身がどのような形で関与していくのか、また学ばないとどうなっていくのか等を共有していく必要があります。
長期的視野の欠如
DX は一時的なプロジェクトではなく、長期的な視点で捉える必要があります。しかし、一部の組織では短期的な結果を重視し過ぎて長期的な視野が欠如していることがあります。デジタルマインドセット部分に通じるところではありますが、こちらもなぜこのスキルを学ぶかなどの動機づけ等が重要になってきます。
リーダーの不在
DX を推進するにはテクノロジーに精通したリーダーが必要です。しかし、このようなリーダーを見つけるのは難しく、全社的に推進していくための部署であったり、事業部毎に推進リーダーをたてて進めていくことが必要です。
DX 人材育成の 5 つのフェーズ
こちらでは、弊社で提供している DX 人材育成方法を 5 つのフェーズにわけてご紹介いたします。
1.人材育成計画策定
DX 人材育成を進めていく上で、現状の把握はかかせません。あるべき人物像の定義するために、ミッション・ビジョン・戦略のヒアリングをし、これらを踏まえたうえで計画のスコープの定義をしていく必要があります。
ここでは人材定義・育成のポイントを 3 点を課題と対策を交えてご紹介いたします。
想定される課題 | 対策 | |
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①計画より運用を重視 |
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②実活用から逆算して設計 |
|
|
③アセスメント&可視化 |
|
|
2.リテラシー教育
DX を推進する上で大切なことは、全社一丸となって進めていくことが非常に重要です。事業部毎に進めていくこともできますが、本質的な解決にはならないため全社員が DX リテラシーを高めていく必要があります。
現在、経済産業省がだしている DX スキル標準というものがあり、その内の一つである DX リテラシー標準が定められており、国としても力を入れている箇所でもあります。
ただ、全社員に対してオンライン・オフラインで学んでいただくことは大変なので、e ラーニングで学ぶことが一般的です。また、学んで終わりではなくしっかりとスキルが身についたかを定量評価をするアセスメントを活用する会社も増えてきております。
3.実践スキルの習得
リテラシースキルを身につけたら終わりということではなく、身につけた上で実践できるスキルの習得が必要となってきます。ここのスキルに関しては、全社的なものではなく、部署ごとに特化して学ぶ会社がほとんどです。
経済産業省でも、DX を推進する人材として実践スキルの習得レベルにあたる DX 推進スキル標準を定義しております。
4.実務への適用・活用
DX リテラシー教育を学び、DX を推進するための実践スキルを学びここで実務に適用・活用していくフェーズに入ってきます。よく聞くのが学んだ後にうまくいかないケースの一つとして、「学びが成果に紐付かず継続しない」事があげられます。
「そもそもどんな課題に取り組めばよいか分からない」であったり、「プロジェクト推進に他部署や上⻑の承認が必要 時間と⼼理的コストがかかる」であったり、「データの取得や環境構築がうまく⾏かず、最初の ⼀歩⽬が踏み出せない」等様々な問題に直面し頓挫してしまうケースも見受けられます。
ですので、学習を始める段階で現場の課題を洗い出し、しっかりと実課題が解決できる座組を取ることが非常に重要となってきます。
5.内製化
一番の理想は会社で内製化まで進められることです。学んだ内容を自社内で完結することが金銭面でも、DX の人材育成面でも理想です。そのためには学習を進めていく上で、DX 部署をおいたり部署ごとに DX 推進人材を選定をする等を行い同時並行で進めていく事が重要です。
DX人材育成の取り組み事例 5 選
キカガクでの DX 人材育成の取り組み事例をご紹介いたします。どのような課題感に対し、どのように取り組まれたかご参考いただけますと幸いです。
住友重機械工業
※参照:DX 研修のキカガク、住友重機械工業株式会社向けに、実データを活用した問題解決型の次世代リーダー育成研修を実施
背景 | 初級者向けの DX リテラシー向上研修や機械学習の理論を学ぶ技術研修は導入が進んでいる一方で依然として実現場での応用はなかなか進まない |
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目的 | 各事業部門から選抜された受講生が実データを用いた研修を行うことにより、DX 推進のための 先端 IT 人材を各事業部門で育成できただけではなく、実現場への導入可能性の高いプロトタイプ開発にも成功 |
成果として、各事業部門から選抜された受講生が実データを用いた研修を行うことにより、DX 推進のための 先端 IT 人材を各事業部門で育成できただけではなく、実現場への導入可能性の高いプロトタイプ開発にも成功しました。
また、研修担当者様からもビジネス課題から逆算した研修を設計することで、データ分析を外部へ頼むことなく、各事業部門においてドメイン知識を基にした適切な DX 課題設定とビジネスの可能性を探れるようになったとも伺っております。
さらに、現場で活躍できる先端 IT 人材を育成することで、広く社内の IT・AI リテラシーを高められる状態になったとの声もいただきました。
サッポロホールディングス株式会社

参照:e ラーニングでサッポロホールディングスの全ての関連会社、外食事業の店舗スタッフまで拡大し 6,000人の DX・IT リテラシー向上をサポート
背景 | DX 推進は企業全体の経営システムやビジネスモデルの変革に繋がるため、組織の一部ではなく全社的な取り組みが必要なため導入 |
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目的 | 組織全体のリテラシーレベル底上げ |
組織全体のリテラシーレベルの底上げを目的とし、全社員を対象にキカガクの e ラーニングシステムを導入いただきました。DX 推進は企業全体の経営システムやビジネスモデルの変革に繋がるため、組織の一部ではなく全社的な取り組みが必要不可欠です。
キカガクの e ラーニングを導入することで、DX を推進する組織のあり方や DX の全体像など、全社的に必要な DX 推進の基礎知識やマインドを習得できるコンテンツを提供いたしました。
株式会社NTTデータ
背景 | AI・機械学習を活用したビジネス企画の立案やプロジェクトの推進をゼロから行う事ができる人材が不足していたため研修を実施 |
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目的 | DX プロジェクトの全体像を把握し、ゼロから PoC の企画ができる人材を育成 |
農林水産省

背景 | らデータ分析を行い、AI などの技術に対する知見を有し、デジタル・データを行政分野へ活用(政策立案・業務改善)できる人材(データサイエンティスト)が必要不可欠のため研修を実施 |
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目的 | 上記人材の育成 |
成果として、受講生様の多くはデータ分析やプログラミング初心者の方でしたが、ケーススタディの最後には、各人が分析の目的設定から、データ収集・加工、統計手法の適用・モデルの構築、分析結果の解釈までを行い、素晴らしい取り組み結果を発表をしていただきました。
研修後には自身が取り組んでいる課題に対して、学んだ内容を活用し実際にデータ分析を進めている職員の方もいらっしゃいました。また、受講生様の中には「これまで受講してきた研修の中で最もわかりやすかった」との声もあり、研修自体の満足度も非常に高い結果となりました。
株式会社山梨中央銀行

参照:金融機関向け DX 研修で山梨中央銀行の人材育成を推進
背景 | 中期経営計画の中で DX を変革のドライバーと位置づけ、地域に根ざした銀行として県内全体の DX 推進を支援することで地域経済の発展に繋げていくため |
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目的 | 顧客の課題解決やデジタル化のニーズに対応できる DX 推進人材の育成 |
成果として、研修終了後の受講生アンケートでは、研修の満足度について、受講生の94%が満足と答えています(2日間平均値 1日目:100%、2日目:88.89%)。
また、データサイエンスの基礎知識を扱った 1 日目の研修では、受講生理解度が 90 %、データサイエンスを活用し課題解決に取り組んだ 2 日目の研修では、受講生理解度が 100 % という回答結果になりました。受講生にとって、知識のインプットだけではなく、現場での活用に繋げられる強い実感を得られた研修となりました。
まとめ
DX 人材育成方法について背景から学んだ際のメリットや課題、育成方法から事例までをご紹介いたしました。DX 推進をしていく上で、自社がどのフェーズなのか、また、そもそもどの課題を解決するべくどのスキルを身につけるか等考えることが山ほどあります。
ぜひこちらの記事を参考いただき、DX の人材育成にお役立ていただけますと幸いです。
サービス資料ご紹介
株式会社キカガクでは、AI / 機械学習 / データサイエンス領域の研修を企業様向けに提供しています。
企業様がどういった課題を抱え、弊社研修でどう効果をあげたか等の事例や弊社講座一覧、 e ラーニングについても載せておりますのでご確認いただけますと幸いです。
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