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E資格は意味ない?どんな人におすすめ?資格取得のメリットを解説!
AI やディープラーニングなど先端技術に関する資格の中でも有名なE資格ですが、まだ比較的新しい資格ということもあり、どんな場面で有効な資格なのかが分からないという声もあります。
今回は、E資格を取得するとどんなメリットがあるのか、そしておすすめできる方、できない方まで詳しく解説します!
E資格概要
どんな資格?
E資格の「E」とはエンジニア(Engineer)の略であり、ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているかを認定するエンジニア資格試験です。
AI エンジニア育成を目的として「一般社団法人日本ディープラーニング協会(以下 JDLA)」が創設した民間資格試験であり、正式名称「JDLA Deep Learning for Engineer」です。
JDLA の設立は 2017 年であり、E資格は2018 年からスタートした比較的新しい資格試験です。
JDLA が運営する資格には、E資格のほかに G検定があります。
G検定はジェネラリスト(generalist)として必要な AI やディープラーニングの知識を有しているかを問う検定試験があります。
- E資格は、ディープラーニングの数学的理論や実装力まで問われるエンジニア向けの資格
- G検定は、ディープラーニングの基礎知識や事業活用の理解が問われるジェネラリスト向けの検定
と分けて考えるとよいでしょう。
また、E資格を受験するためには、まず受験資格を得る必要があり、「JDLA 認定プログラム」の受講が必須条件となります。
認定プログラムの受講を通じて、単に知識だけでなく、AI やディープラーニングに関する実践的なプログラミングスキルを習得できます。
E資格概要
項目 | 詳細 |
---|---|
受験資格 | JDLA認定プログラムを(*1) |
実施概要 | 試験時間:120分 |
試験会場 | お申し込み時に、 |
出題範囲 | シラバスより、 |
受験費用 | 一般:33,000円(税込) |
どんな試験内容?
E資格の試験範囲は、「応用数学」「機械学習」「深層学習」「開発・運用環境」の4分野です。日本ディープラーニング協会の「E資格の試験範囲(シラバス)」によると、以下のようになっています。
AI に関する数学的理論から、深層学習(ディープラーニング)、開発環境まで幅広い知識が求められます。
大項目 | 内容 |
---|---|
応用数学 | 確率・統計 |
機械学習 | 機械学習の基礎 |
深層学習 | 順伝播型ネットワーク |
開発・運用環境 | ミドルウェア |
難易度
E資格試験の出題範囲は上記のように多岐に渡るため、資格取得のためには多くの勉強時間を確保する必要があります。
出題内容も専門性が高く、大学で学ぶ線形代数など、ディープラーニングなどの AI 技術のベースとなっている数学的理論を理解しておくことが前提となっています。
通常の IT 資格において、大学数学の知識が必要なものは限られており、E資格はその数少ない資格であるため必然的に取得難易度も高いと言えるでしょう。
また、出題範囲のディープラーニングは AI 技術の応用として位置付けられており、ニューラルネットワークに関する基本的な知識だけでなく、再帰的なネットワークや強化学習などの発展的な内容も勉強しなければなりません。
さらに、認定プログラムの中では、コーディングによる実装も行うため、知識面だけではなく実践的なスキルも必要となります。
E資格取得は「意味ない」のか?
上記のように資格取得までの道のりは決して易しくない E資格ですが、取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは大きく 5 つご紹介します。
- AI やディープラーニングの知識が体系的に身につく
- 実践的なスキルが身につくため業務に活用できる
- スキルを客観的に証明できるため社内評価やキャリアアップに役立てることができる
- AI を実装できるエンジニアの需要は年々増加傾向にあるため転職の際にも役立つ
- E資格合格者専用コミュニティに参加できる
AI やディープラーニングの知識が体系的に身につく
E資格試験では、応用数学、機械学習、深層学習、開発・運用環境という幅広く深い知識が求められます。
更に E資格受験資格を得るためには、「JDLA 認定プログラム」の受講が必須条件となります。
認定プログラムの受講を通じて、単に知識だけでなく、AI やディープラーニングに関する実践的なプログラミングスキルを習得することができます。
AI や機械学習、ディープラーニングなどについて独学で学んでいた方も、領域があまりに広いため、どの単元をどの深さまで学べば良いのか迷ってしまうこともあるでしょう。
E資格という一つの代表的な AI の資格取得を目指して勉強することで、幅広くバランスの取れた知識を習得することができます。
具体的な出題範囲はシラバスに掲載されておりますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
なお、2022 年 8 月以降の「E2022#2」からシラバスが一部変更となりました。
大きな変更点としては、ディープラーニング実装のための便利なフレームワークである PyTorch や TensorFlow を利用した実装が追加されています。
受験者はどちらかのフレームワークを選択して回答することが可能です。
実務ではフレームワークを利用することが一般的であるため、今回の改定でより一層実践的な内容になったと言えます。
今後も AI 実用の潮流に合わせたシラバス改定が順次行われていくものと思われますので、アンテナを張って常に最新の情報をキャッチすることが重要です。
2022 年 8 月以降の「E2022#2」からの変更点については下記記事をご参照ください。
実践的なスキルが身につくため業務に活用できる
E資格を取得するためには、知識だけでなく実装力も身につけることが求められます。
自身の業務に AI の知識が転用できる領域を見つけることができれば、すぐにでも AI 導入に取組み始めることが可能です。
また、Kaggle や Signate など機械学習コンペティションへの参加や、機械学習を活用したアプリ作成などを通じて、業務外でも自身の趣味や個人的な活動の幅を広げることにもつなげることができます。
社内評価やキャリアアップに役立てることができる
E資格を取得していれば、機械学習やディープラーニングに関する知識があることを客観的に PR することができます。
近年 AI 開発や導入に着手する企業は急速に増えてきているため、E資格を取得していれば AI に関する事業や取り組みに携わることができるチャンスは高くなるでしょう。
一般の PHP や Ruby などを用いたプログラミングと比べると、数学や統計学などに関する知識も必要となるため AI 分野は活躍するのが比較的難しい領域です。
そのため、E資格を取得して AI 関連開発に挑戦することで、社内でのキャリアアップにより、年収が上がる可能性もあります。
近年は E資格取得者に対して、資格手当を支給する企業も出始めております。
転職の際にも役立てることができる
自動車の自動運転、掃除機やエアコンなどの AI 家電など、世の中のあらゆるところに AI の普及が広がり、それに伴い AI エンジニアの需要は年々増加傾向にあります。
特に AI エンジニア、データサイエンティストなど、AI を業務で活用することが求められる職種の求人では、E資格取得者を優遇するケースも増えてきております。
ただし、資格だけではなく実務経験が求められることも多いのが実情です。
そのような場合でも、現在の業務領域や仕事以外の場で、AI を活用した取り組みに挑戦してその結果を客観的に提示することができれば、採用段階での評価につながることも大いに有り得るでしょう。
E資格取得はどんな人におすすめ?
さてここまで、E資格を取得することのメリットをお伝えしてきましたので、具体的にどんな方にE資格取得をおすすめできるかについてお伝えします。
E資格取得をおすすめしたい方
- 何か新しいことに挑戦したい方
- これまで AI、ディープラーニングを独学で学んできた方
- AI やディープラーニングに興味があるエンジニアの方
- AI について深く理解してプロトタイプ開発にも携わりたい営業職や企画職の方
- AI に関わる仕事への転職を検討している方
など、E資格は様々な方におすすめできる資格試験です。
一方で以下のような方にはあまりおすすめできません。
E資格取得をあまりおすすめできない方
- 費用を掛けずに AI、ディープラーニングを学びたい方
- すでに AI 研究や開発に従事しており、高度な知識、実装力を有している方
E資格を受験するためには、受験料が掛かります。
また、日本ディープラーニング協会の認定プログラムに参加する必要があるため、受験料とは別で認定プログラムへの参加費用も必要となります。
そのため、AI スキル習得のために費用を掛けることが難しい場合はあまりおすすめできません。また、すでにE資格取得相当かそれ以上の知識を有して実務でも活用されている方も、費用に見合う効果が得られるか十分に検討した方が良いでしょう。
まとめ
上述したように、E資格取得には高額な費用負担が伴います。
費用に見合う効果が得られないと思われるかも中にはいらっしゃるでしょう。それこそがE資格取得が「意味ない」という声につながっているのかもしれません。
ぜひ今回の記事を参考に、E資格受験をご検討されてみてはいかがでしょうか。
最後に
今回の記事では、E資格のメリットやどんな方におすすめできるかについて解説致しました。
これから AI の社会実装が進んでいく中で、AI を深く理解し、実践的に活用できる力はますます重要になるでしょう。E資格取得を目指すことは、そのスキルを客観的に証明する有効な手段です。
E資格が少しハードルが高い、と感じられた方は、ぜひまずは G検定を目指すところから始めてみるのもおすすめです。
キカガクブログでは、キカガクの AI 人材育成長期コースにご参加され E資格合格した方へインタビューを実施しております。
【E 資格合格者インタビュー】長期コースで E 資格に合格するまで!
ぜひこちらも合わせてご覧ください。
キカガクの認定プログラム
キカガクが提供しているディープラーニングハンズオンセミナーは、JDLA より E資格認定プログラムに指定されています。
キカガクの認定プログラムのメリット
ディープラーニングハンズオンセミナーを受講いただく大きなメリットを 3 つ紹介いたします。
1. ディープラーニングについて短期間で体系的に学べる!
ディープラーニングハンズオンセミナーでは、機械学習やディープラーニングについて理論や実装について体系的に学ぶことができます。3 日間という短期間で体系的な知識を得ることができるボリューム満点のコースとなっています。
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受講期間中は講師に直接質問することができます。
ハンズオン形式で学ぶ事ができるセミナーとなっていますので、受講期間中(3 日間)は講師に直接質問することができます。
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ディープラーニングハンズオンセミナーに参加された方皆様に、先程例題としてお見せした E資格事前学習テストをはじめ、E資格対策コースとして、20 時間分のE資格対策動画を無料で付与いたします。
キカガクの E資格対象コース
キカガクでは次の 2 つの E資格対応コースをご用意しています。
【JDLA E資格認定講座】ディープラーニングハンズオンコース(オンライン研修)の詳細はこちら
【JDLA E資格認定講座】ディープラーニングハンズオンコース(e ラーニング)の詳細はこちら
また、個人向けとして 6 ヶ月間に長期コースも E資格の対象講座になっており、無料説明会も開催しております。
その他研修について
キカガクでは上記以外にも、研修をご用意しております。
例えば、キカガクの研修の特徴でもお伝えした実際の実現場の課題をテーマに上記コースで学んだことを活用していく PBL 研修等です。
このようなキカガクのサービスの特徴やコース詳細についての資料にて詳しくご紹介しております。コースごと学習内容の詳細やスケジュール等や今回ご紹介してきれていないコースやサービスもご用意あります。
E資格向けを検討されている方のご参考になれば幸いです。
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