静岡ガス株式会社 様

目次
静岡ガス株式会社は、2030VISION実現に向け、 2022年よりDX人材の育成を進めています。
キカガクは、静岡ガス株式会社のDX推進を行うトップ層のデータサイエンティストを育成するために、2023年より約半年間に渡る研修を実施しました。
【今回実施した約半年間の研修の内容】
実施研修 | 期間 | 詳細 |
事前学習 | - | DX や AI, Python 等について学ぶ eラーニング研修 |
データサイエンス実践コース | 3 週間 | 実データを用いた演習形式のデータ分析を通して、統計・数理の基礎知識、データ加工・可視化、解釈・レポーティングを学ぶ研修 |
機械学習実践コース | 3 週間 | 豊富な演習を通して機械学習を用いたデータ分析力と実装力を身につける研修 |
課題解決型研修 | 2 ヶ月 | 実際の現場の課題を実データを使い解決する超実践研修 |
今回は下記について、実際に研修に受講生として参加下さった静岡ガスエネルギー株式会社企画グループ デジタル イノベーションチームの花谷様にインタビューさせて頂きました。
・研修前参加の意図
・研修の感想
・研修で身に付いたこと
など
インタビューイー | 部署 |
花谷様 | 静岡ガスエネルギー株式会社 |
なお、研修導入担当者様へのインタビューはこちらでご紹介しています。
花谷様:
研修受講当時は、静岡ガスエネルギー株式会社の営業所にて、当社の LPガスをお使いのお客様へ、設備の保安業務や暮らしに関するサービスの提案をしておりました。
現在は、企画グループ デジタル イノベーションチームに異動し、デジタル技術を活用するという側面から、お客様への付加価値の提供や社内業務の高度化・効率化を実現する取り組みを企画し、プロジェクト推進までを担う業務に従事しています。
花谷様:
新しい技術への興味からです。
異動前の部署では営業をしていたので、業務上データ分析やプログラミングなどに関わる機会はありませんでした。ただ、個人的に HTML や CSS といったプログラミング技術に興味があり、独学で学習していました。
また、2022 年の DX を推進する中心人材(以下、コア人材)の研修にも参加しました。
そして今回、初学者からでも Python を使って機械学習やデータサイエンスを学べるトップコア人材(トップコア人材・・・DX を推進するトップレベルの人材)の研修の案内があり、新たに機械学習を学べる良い機会になると思い応募しました。
花谷様:
機械学習が普段の業務にどう活用できるのか具体的にイメージが湧かず、不安を感じていました。
ただ、私自身新しいことを学ぶのが好きということもあり、独学では習得できない知識やスキルが得られる期待の方が大きかったです。
【静岡ガスグループ 2030 年ビジョン:静岡ガスグループの 2030 年ビジョン(P5)】
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花谷様:
研修参加の事前準備として、機械学習等を予習する eラーニングを受講しましたが、この段階では機械学習をうまく使いこなせるか不安を感じていました。
また、インプット研修である「データサイエンス実践コース」が始まった後も、「本当についていけているのか」とかなり不安でした。
しかし、後半の機械学習実践コースでは、講師の方が受講者のレベルに合わせて分かりやすく教えて下さり、一歩一歩着実に学習を進め、機械学習についてかなり理解を深めることができました。
さらに、課題解決型研修(以下、PBL)では Python を使ってデータ分析をしたり、機械学習モデルを実装したり、様々な角度から仮説を立てたり、その仮説を検証するためのアプローチ方法を考えるなどの実践的な内容を通して、やりがいと成長を感じることができました。
花谷様:
誰も置いていかず、一人ひとりに向き合って教えてくれました。
元々の知識や技術レベルの違いや通常業務の忙しさなどがあり、研修中どうしても差が出てしまいます。
しかし、どんなメンバーにも本当に丁寧に教えてくれ、全員をしっかり引っ張り上げながら、みんなで一歩一歩進んでいけるようにサポートしてくれた印象です。
花谷様:
基本的なITスキルや知識の習得はもちろん、Python を使ったデータ分析や機械学習などのスキルが身に付きました。
実は本研修の受講前、機械学習等はもっと難しいと思っていました。
しかし実際学んでみると、ライブラリー等も整備されており、こんなに簡単に実装できるんだと驚きました。
また、データサイエンスの学習を通して、物事を一つの視点ではなく多角的な視点で捉えることの大切さやその習慣、そして根拠を示すことの重要性を学ぶことができました。
こういった視点や考えは、データ分析プロジェクトだけでなく日常業務に活かせるので、本研修を通して身に付けることができて良かったと思っています。
【インタビュー中のお写真】
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*インタビュー中は、育成担当者である経営戦略本部デジタルイノベーション部の中村様(写真下)も同席して下さいました。
花谷様:
生成 AI の ChatGPT を使って勉強をしたことです。
研修中に作成したプログラムが何度かエラーで止まってしまうことがありました。エラーの原因を調べるために ChatGPT に質問し回答を得るなど、理解を深めながら、かつ効率的に研修を進めることができました。
それでも原因が分からないときは、講師の方に個別に教えていただいたりもしました。
これによって講義に集中できるだけでなく、副次的ではありますが、ChatGPT の使い方にも慣れました。
現在グループ内でも ChatGPT の活用を進めていることもあり、新しい部署でも ChatGPT の使い方を私に聞いてくれる方もいます。当初はここまで ChatGPT を使うとは思ってもいませんでしたが、研修中学んで良かったと思っています。
花谷様:
当時私が所属していた営業所の上長はとても理解をしてくれる方でした。
私が参加する時間を作ってくれるだけでなく、他の営業メンバーにも働きかけて私が研修に集中できる環境づくりをサポートしてくれました。
そのおかげで研修に参加できたので、本当に感謝しています。
花谷様:
私の所属していたチームでは、「ガス契約の長期継続に影響する要因の分析」がテーマとなりました。
これは私自身が営業業務に従事していた際に研究したいと思っていたテーマでした。
実際チームで取り組むテーマがこれに決まり、自分の業務にダイレクトに関わるため、とてもワクワクしました。
花谷様:
静岡ガスグループは、地域のお客様に「安全・安心」「カーボンニュートラル化の実現」「QOL 向上」の視点で価値を提供し続け、持続可能で暮らしやすい地域づくりを目指しています。
より多くのお客様にこの価値をお届けしたいと考え、そのためにはお客様に選ばれ続けることが重要だと考えています。
そのため、「お客様はどんなことを重視して、サービスを提供する会社を選ぶのか?」を科学的に検証することができれば、私たちがお客様とどのようにお付き合いしていくべきかの方針が示せると考えたからです。
自分の業務に直結する課題に対して、実データを用いて取り組めたため、終始意欲高くプロジェクトに関わることができました。
これが、自分の業務と関係が薄いテーマやデータだったら、ここまで意欲とイメージは湧きにくかったかもしれません。
花谷様:
「ガス契約の長期継続に影響する要因の分析」をメンバー達と検討を重ね、どんな要因が影響しているかを明らかにし、考察までできました。
具体的には、電気とセットで契約をしている方、そして新築時から当社と契約をして下さった方が長期契約に繋がる傾向があるという分析結果でした。
つまりこの結果から、「今後のお客様に我々のサービスを長く使っていただくためには何をしないといけないか」という方針を示せたように思えます。
花谷様:
「電気の契約は関係しているかも」という感覚は、営業時代から持っていました。
今回それがデータで証明でき、ドメイン知識や経験のデータによる裏打ちが得られました。
また、営業時代ではもう一つ、長期契約のお客様はガス器具の導入もして下さるという仮説を持っていました。しかしデータ分析の結果、これは要因となっていないことがわかりました。
一方、新築と同タイミングでの契約は、営業時代にも仮説として持っていなかったので、新しい発見となりました。
このように、仮説がデータによって裏打ちされたことや逆に覆えされること、そして思っても見ていなかった発見があり、本当に勉強になりました。
【PBL での成果報告レポートサマリーのイメージ(下図はサンプル)】
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花谷様:
私も含めメンバーの機械学習やデータサイエンスの知識や知見が浅く、手探り状態でプロジェクトを進めていきました。
まずは学習したことを活かし、手元にあるデータで分析をしたり、機械学習にかけてみたりしました。しかし、いまいち良い成果がでませんでした。
次に、再度データから見直すことになったのですが、どのようなデータを集める必要があるのかわかりませんでした。
そこで、中村さんや講師の方のアドバイスを受けながら、チームメンバーで色々話し合い、ほしいデータを決めていきました。ただ、分析に必要なデータがまとまっているわけでないので、様々な部署に電話をかけたりと、地道にデータを集めていきました。
このように試行錯誤していったのですが、大変といえば大変でした。
花谷様:
データの取得から可視化・分析、そして講師の方への相談等を繰り返すことによって、「データへの理解度」がどんどん増していきました。つまり、最初は見当がつかない状態から、「もしかしたらこのデータが必要かも」という仮説を立てられるようになりました。
また、講師の方が「こういったデータがあれば面白いことができるかも」といった新しい視点のフィードバックをくれたことも大きかったです。
そのうえ、データだけでなく、分析手法においても試行錯誤しました。
当初はロジスティック回帰や決定木を使った分析モデルを使用していました。ただそれらの手法では、なぜその要因が長期継続に影響するのかという説明力が弱く、求める可視化ができない状態でした。
しかし、講師の方から「SHAP を使うのはどうか」といった提案があり、新しい手法を学びながら実装し、求める可視化を実現できました。
このようにメンバーと意見交換しながら進め、それでも解決の糸口が見つからなかったときは講師の方にアドバイスやサポートをしてもらいながら、一つずつ課題をクリアしていきました。
花谷様:
先のデータや分析の切り口、新しい分析手法の提案など、毎回のメンタリングで丁寧にサポートして下さいました。
さらに、簡単に答えやアドバイスをしてくれるのではなく、私達が何も出なくなるまで、出し切るまではまずしっかり聞いてくれて、更に「本当にもう何も手段はないですか?」ともう一押ししてから、やっと教えてくれるといった関わり方が、私達の自走を促してくれました。
また、「次のメンタリングまでにこの状態で臨みたいね」といったスケジュールから逆算した次回までのゴールイメージを共有してくれたので、これに引っ張ってもらう形でプロジェクトを前に進めることができました。
【PBL でのキカガクによるサポートのイメージ】
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花谷様:
二つあると思います。
一つ目は、「皆で作り上げていった」という点です。
最初のインプット研修から皆一緒で、PBL でもメンバーで切磋琢磨しながら、進めてこれました。やはり意欲の高い仲間と一緒にできたことが大きかったと思います。
二つ目は、「キカガクさんの誰一人置いていかない面倒見の良さ」という点だと思います。
それぞれ通常業務のある中での参加だったので、私も研修に参加できない日がありました。そうした状況でもアウトプットを出すためには、やはり一人ひとりにしっかりと向き合ってくれる面倒見の良さがないとできなかった気がしています。
花谷様:
お客様により良いサービスをご提供するため、お客様を訪問したことやご提案したこと等をシステムでしっかりと管理していく取り組みを開始しました。
短期的には、どれほどお客様を訪問できているか等を見える化する業務を自動化したいと思っています。自動化により、お客様に行き届いたサービスが提供できているかをスピーディに検証し、改善できるようになると考えています。
一方で長期的には、お客様との接点をデータ化・分析し、お客様の暮らしに合わせた的確なご提案に繋げる取り組みを検討できないかと思っています。 PBL で経験したようにデータで裏打ちされた新しい知見を科学的に示せたら嬉しいなと思っています。
また、集まったデータを分析し、「こういった視点のデータも必要」という提案もできるようになりたいです。
花谷様:
新たな価値の創造や社内業務の高度化・効率化に繋がるアイデアを考え、形にするまでのスキルを備えた行動できる人材が増えると思います。
このような人材育成は、静岡ガスグループが目指す、持続可能なくらしやすい地域づくりの実現には必要不可欠な取り組みだと感じています。
花谷様:
受講される方には、ぜひ楽しんで取り組んでほしいと思います。
機械学習と聞くと敷居が高いイメージがありますが、初心者の私でも機械学習をはじめとしたデータサイエンスの理解を深めることができました。
それだけでなく、専門的な知識や新しい視点で物事を考える思考方法を知れたことで、今後の私のビジネスパーソンとしての自信や思考のベースになると感じています。
新たなことにチャレンジしたい方や、機械学習等に興味がある方に受講頂き、ぜひ楽しんで頂けたらと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
キカガクでは業界業種問わず 1000 社以上の企業に導入いただき、DX 人材育成における様々な課題解決をご支援しております。
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