【最大50%免除も】ただのローンじゃない！「リ・スキリング等教育訓練支援融資」徹底解説

「リ・スキリング等教育訓練支援融資」とは？

この制度は、スキルアップや就職・転職を目指す人が、「授業料」と「訓練期間中の生活費」をまとめて低金利で借りられる、厚生労働省（ハローワークや労働金庫が窓口）が管轄する国の制度です。

ここで一番注意してほしいのは、これは「給付金（もらえるお金）」ではなく、「融資（将来、返す必要のある借金）」であるという点です。

しかし、「なんだ、ただの借金か」とがっかりする必要はありません。

この融資の最大の特徴は、一般的な教育ローンと違い、「講座を修了して、ちゃんと就職・転職し、収入が上がったら、返済の一部を免除しますよ！」という、いわば「出世払い」的な仕組みがセットになっていることです。

ただお金を貸すだけでなく、その後のキャリアアップ成功まで応援してくれる、非常にユニークなローン制度なのです。

【最重要】融資の「条件・対象者」は？ 5つの必須チェックリスト

この融資は、主に「雇用保険に入っていない人」を対象としています。 以下の5つの条件をすべて満たす必要があるため、ご自身が当てはまるかチェックしてみてください。

① 働き方の条件：「雇用保険に入っていない」こと

• これが最大の前提です。フリーランス、個人事業主、離職して失業手当の受給が終わった方、主婦（夫）などが対象です。
• ※今、会社員などで雇用保険に加入している人は対象外です（その場合は「教育訓練給付金」など別の制度を使います）。

② 経験の条件：「通算3年以上」の就業経験があること

• 過去に、雇用形態を問わず（正社員、フリーランス、パート、アルバイトなども含む）合計して3年以上働いた経験が必要です。

③ 年齢の条件：18歳以上～66歳未満であること

• 申込時点で18歳以上であること。
• 融資（借入）を開始する時点で66歳未満であること。
• （また、すべての返済が終わる時の年齢が76歳未満である必要があります）

④ 意思の条件：「働く意思」があり、ハローワークで相談すること

• 「この講座を受けて、就職・転職・キャリアアップするぞ！」という「労働の意思」があることが前提です。
• また、受講中や手続きにおいて、ハローワークで定期的な職業相談（キャリアコンサルティングなど）を受ける必要があります。

⑤ 講座の条件：「対象」として指定された講座であること

• 趣味のスクールなどでは使えません。
• 受ける講座が、厚生労働省の「教育訓練給付金（一般・特定・専門実践）」の対象として指定されている講座や、公共職業訓練である必要があります。

この融資制度の大きな魅力は、その「借りられる範囲」と「条件の良さ」にあります。

いくら借りられる？（上限額）

この融資は、受講に必要な「授業料」と、勉強期間中の「生活費」の2種類を借りることができます。

① 教育訓練費用（授業料など）： 年間 最大120万円

② 生活費： 月額 最大10万円（＝年間 最大120万円）

例えば、受講期間が1年間のコースに通う場合、授業料120万円と生活費120万円（月10万円×12ヶ月）、合計で最大240万円まで借りることが可能です。 スキルアップ中の生活費の不安までカバーしてくれるのは、非常に大きなポイントです。

※ただし、離職者の方や年収が200万円未満の方は、生活費の融資は最大1年分（120万円）まで、といった一部制限が設けられている場合があります。

金利・保証人

融資の条件面も、一般的なローンと比べて非常に有利になっています。

金利： 年2.0%（固定金利）

担保・保証人： 不要

2.0%という低金利で、しかも返済が終わるまで金利が変わらない「固定金利」が適用されます。さらに、担保や保証人を準備する必要がないため、手続きのハードルも低く設定されています。

どうやって使う？ 融資申請から返済開始までの6ステップ

この融資を利用するには、ハローワークと金融機関の両方で手続きが必要です。 大まかな流れは以下の6ステップになります。

STEP 1：対象となる「講座」を選ぶ

まずは、自分が受けたい講座を選びます。

この融資はどの講座でも使えるわけではなく、「教育訓練給付金」の対象として指定されている講座や、公共職業訓練などである必要があります。

STEP 2：ハローワークで「相談」と「要件確認」

受けたい講座が決まったら、ここが重要です。まず銀行（金融機関）に行くのではなく、お住まいの地域を管轄するハローワークに行きます。

窓口で「リ・スキリング支援融資を受けたい」と相談し、ご自身が対象者の条件（雇用保険に入っていない、就業経験3年以上など）を満たしているかを確認してもらいます。

STEP 3：金融機関で「ローン」の申し込み

ハローワークで「あなたは対象ですよ」という確認や必要な書類をもらったら、次に指定された金融機関（労働金庫など）に行き、ローンの本申し込みを行います。

STEP 4：審査・融資実行

金融機関（および保証機関）による審査が行われます。

無事に審査を通過すれば、契約手続きを経て、口座にお金が振り込まれます。（※振込のタイミングや方法は金融機関にご確認ください）

STEP 5：受講開始

融資が決定したら、いよいよ訓練（講座）の受講をスタートします。

（注意） 講座を受けている間も、定期的にハローワークでの職業相談（キャリアコンサルティングなど）を受ける必要があります。

STEP 6：返済開始

講座（訓練）がすべて修了したら、いよいよ返済が始まります。

ただし、すぐに元金の返済が始まるわけではなく、卒業後1年間の「据置期間（すえおききかん）」（利息のみの支払い）を経てから、元本の返済がスタートします。（※据置期間については次で詳しく解説します）

返済の仕組みは？ 据置期間と最大のメリット「返済免除」を解説

この融資には、一般的なローンにはない、利用者に有利な返済ルールが2つあります。

（1）卒業後1年間は利息だけ！「据置期間」とは？

まず、訓練（学校）が終わってから1年間は、「据置期間（すえおききかん）」が設けられています。

据置期間とは、ローン本体（＝元本）の返済は待ってもらえる猶予期間のことです。 この1年間に支払うのは「利息」だけでOK。借りた「元金」はまだ1円も返さなくてよいのです。

例えば、もし200万円（金利2.0%）を借りた場合、この据置期間中（1年間）に毎月支払うのは、利息分の約3,300円だけです。

これは、卒業してすぐの就職活動や新しい仕事で大変な時期に、高額な返済負担で生活が苦しくならないようにするための、非常に助かる仕組みです。

そして、卒業から1年間の据置期間が終わったら、ようやく「元金＋利息」の本格的な返済（最長10年）がスタートします。

（2）【最大のメリット】条件達成で「返済免除」！

この融資が「ただのローンじゃない」最大の理由が、この「返済免除ルール」です。 いわば「出世払い」のような仕組みで、以下の条件をすべて満たすと、なんとローン残高の一部が免除（返さなくてよくなる）されます！

【免除のための3つの条件】

1. 訓練をちゃんと修了すること
2. 訓練終了後1年以内に（雇用保険に入る形で）就職し、1年以上継続して働くこと
3. 訓練を受ける前と比べて、就職後の賃金（収入）が一定以上上がっていること（※免除申請時の年収が500万円未満であること）

【いくら免除される？】

免除額は、収入がどれだけ上がったかによって変わります。

• （例）賃金が10%以上アップした場合 → 残債務の50%が免除（上限150万円）
• （例）賃金が 5%以上アップした場合 → 残債務の30%が免除（上限100万円）

スキルアップを頑張って、その結果（＝収入アップ）を出せば、借金の負担が大幅に軽くなる。これが、この制度の最大のメリットです。

【まとめ】この融資のメリットと注意点

この「リ・スキリング等教育訓練支援融資」のメリットと、利用する上での注意点を整理します。

メリット：手厚いサポートで挑戦できる

最大のメリットは、雇用保険に入っていないフリーランスや主婦（夫）の方でも利用できる点です。

さらに、授業料だけでなく「生活費」も借りられることは、他の教育ローンにはない大きな強みと言えます。これにより、勉強期間中の生活の不安を大きく軽減できます。

また、卒業後すぐに高額な返済が始まらない「1年間の据置期間」や、低金利（年2.0%固定）・担保保証人不要という条件も魅力です。

そして何より、スキルアップに成功して収入が上がれば、借金が最大半分になる（返済免除される）という「出世払い」の仕組みがあるため、学習へのモチベーションも高く保てるでしょう。

デメリット・注意点：あくまで「ローン」であること

ただし、メリットばかりではありません。以下の点には十分注意してください。

最も重要なのは、これは給付金ではなく、あくまで「借金（ローン）」であるという点です。 当然ですが審査があり、誰でも必ず借りられるわけではありません。

そして、もし返済免除の条件（就職や収入アップなど）を達成できなければ、利息を含めた全額を自力で返済する必要があります。

また、この制度は「雇用保険に入っていない人」向けのため、現在会社員の方は利用できません（会社員の方は「教育訓練給付金」など別の制度をご利用ください）。

「借りられる」という手軽さだけでなく、「返済する」という責任もしっかりと理解した上で、ご自身のキャリアアップのために活用しましょう。

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