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【事例:生成AIアイデアソン】社員の創造力で加速する生成AI活用。大日本印刷のアイデアソン好事例
大日本印刷株式会社(以下、DNP)様は、社内での生成AI活用を促進するため、全社的な生成AIアイデアソンを実施しました。その運営サポートをキカガクにご依頼いただき、事前の説明会から審査通過者へのメンタリング、発表会の運営などの総合的な伴走支援を実施しました。アイデアソンには150件以上のアイデアが集まり、そのうち現在2件について、実際のプロジェクト化の動きとして進んできています。
今回は、生成AIアイデアソン実施の経緯や成果、今後の展望について、価値創造推進本部 業務革新推進室の立野 和浩様にお話を伺いました。
生成AI活用推進の現状と課題
環境を用意しても、活用が進まない…利用率向上の壁
まず、立野様の所属部署や業務について教えてください。
価値創造推進本部の業務革新推進室に所属しています。業務内容は価値創造に向けての基盤づくりというのが大枠で、具体的には社内のDX推進や人事制度周りの課題解決、組織風土・組織カルチャーの基盤づくりなど、多岐にわたるプロジェクトを担当しています。
生成AIの浸透や定着を支援するのも、プロジェクトの一つです。
生成AIの活用推進における課題はどのようなものでしたか?
DNPグループ全体で生成AIを活用して業務を効率化し、社員がより価値の高い活動へ時間を割ける状態を目指していますが、まだまだ伸びしろが大きい状況です。個々人が自律的に生成AIを使っていくための意識変容を起こせていないことが課題でした。
具体的には利用率の低さが挙げられます。社内で使用できる生成AI環境があるのですが、毎日使っている人は全体の2割程度もいないのではないかと思います。この割合は、私個人のきびしめの見解ではありますが、活用が十分に進んでいるとは言いがたい状況です。
キカガクを選んだ理由
信頼できる企業からの的確な提案で迷わず決断。メンタリング機会の多さが魅力
なぜ全社的な生成AIアイデアソンを実施することにしたのでしょうか?
もともと各部署で、生成AIの活用方法を考えるアイデアソンを実施していました。人財開発部のDX人材育成担当者や事業部側の生成AI関連メンバーと話し合うなかで、それを全社的な取り組みに発展させようという話になり、大規模なアイデアソンを開催することになりました。
生成AI活用に向けた意識変容を起こしていくために様々な取り組みを行っていますが、生成AIアイデアソンもその一つとして位置づけています。社員の方々に自ら考えてアイデアを出してもらうことで、生成AIへの理解を深めて活用意欲を高めること、さらに生成AIを活用した業務効率化や新規事業の新たなプロジェクトが生まれることを狙いとしました。
キカガクを選んだ理由を教えてください。
一番の理由は、人財開発部ですでに実績があったことです。内容にも満足しているとのことで、信頼関係ができていました。相談してからの対応が早かったことも好印象でした。
もう一つは、提案内容が我々の想定していたものと近かったことです。特に1on1や1onNでの各チームへのメンタリング、フィードバックの機会が多く設けられている点が魅力的でした。事前の説明会や募集したアイデアの審査、メンタリングの機会など、全体設計や支援内容がイメージ通りだったのでお任せしようと思えました。
メンタリングを担当してくださる方の専門性の高さも選定理由の一つです。AI開発やコンサルティング経験が豊富なプロの視点から学ぶことができる点も魅力でした。
▼生成AIアイデアソン全体設計のイメージ
▼メンタリング(伴走支援)イメージ
生成AIアイデアソンの実施内容と成果
150件を超えるアイデアから生まれた、2件のプロジェクトという成果
生成AIアイデアソンの実施内容と結果について教えてください。
キカガクさんにご提案いただいた流れで、説明会からアイデアの募集、選抜、発表会に参加するチームへの伴走支援から発表会の開催、という流れで実施。募集の段階では150件以上のアイデアが集まり、発表会にはオンライン参加者含め約650名以上が参加しました。
全社的なイベントになったかと思いますが、成果はどのように感じられていますか?
開催の目的として、DXの理解、全体での生成AI活用マインドの醸成に加え、最も重視していたのはアイデアソンをきっかけとした具体的なプロジェクトの推進でした。
発表会以降で実際に実装に動いているプロジェクトが2件あり、これを重要な成果として捉えています。1件は要件整理したうえで、プロトタイプ作成に向かえればと思っています。もう1件も、当初の想定より大きなプロジェクトになっているため予算などの問題はありますが、該当する事業部内で進行中です。発表会に残らなかった案件についても、横展開やインパクトのあるものは、再度、洗い出ししてまいります。
生成AIアイデアソンを成功させるために工夫した点はありましたか?
審査員に役員などに入ってもらいました。事業を進める際に関係者になる可能性が高い人たちに審査員として参加してもらうことで、後々のプロジェクト推進がスムーズになると考えました。また、社内の人間がどのようなことを考えているのかを役員に知ってもらう機会にもなりました。
今回のアイデアソンの良かった点を教えてください。
アイデアソンに応募する前段階として実施した説明会兼セミナーの内容、またアイデアソン当日のセミナーの内容が非常に良かったです。業務フローを分解し、どの部分に生成AIを使っていくのかを考えていく、という思考フレームを教えるものでした。
また、重視していたメンタリングも非常に好評でした。専門家からのアドバイスにより新たな視点を得られたり、視座を高められたりという効果がありました。参加者からは「外部の方のご意見を伺うことで自分に足りないものが見えた」「企画はたたかれて良くなることを改めて実感した」といった声が聞かれました。
キカガクの専門家によるファシリテーションも効果的でした。参加者の考えを引き出し、アイデアをより具体的に、実現可能性の高いものにブラッシュアップしていく過程は、参加者にとって大きな学びになったようです。
今後の展望
生成AI活用促進への継続的な取り組みを、イノベーション創出につなげていきたい
今後の展望について教えてください。
生成AIアイデアソンを起点に動いているプロジェクトの実装を進め、価値創出へとつなげていきたいと考えています。個人的な理想としては、このアイデアソンから出たアイデアが、全社表彰であるDNPアワードを受賞することです。
その他にも、生成AIが組み込まれたデジタルツールを利用している社員からどのように使っているかを募って共有し、ツール提供社の方にも参加、フィードバックいただく「ユースケース共有会」なども開いており、地道に取り組んでいます。出てくる活用方法のレベルも導入当初より上がっており、少しずつ活用が進んでいると感じています。
今後も様々な取り組みを積み重ねて、生成AIの業務活用を推進していきたいと考えています。具体的には、マインドセットの醸成や知識の向上、社内インフラ整備など活用基盤をさらに強化しつつ、プロトタイプ作成やユースケース共有、アイデアソンなどのアウトプット機会も作っていく。こういった総合的な活動を通して、業務効率化やイノベーション創出につなげていきたいと思います。
最後に
最後までお読みいただきありがとうございました。
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