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アセスメント平均スコア11点向上。デジタル格差を解消し、4,800人の行動変容を実現したDXリテラシー教育の全貌

中外製薬株式会社

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ヘルスケア産業のトップイノベーターを目指す中外製薬株式会社(以下、中外製薬)は、2030年に向けた成長戦略において、DXを「キードライバー」のひとつと位置付けています。しかし、全社的な変革を進める中で、部署や職種間の温度差から生じる「デジタルデバイド(格差)」という課題に直面しました。

この壁を乗り越えるべく、同社は改めて全社的なリテラシー教育プログラムを実施。国内グループ会社社員(8,000人弱)の61%(約4,800人)が手挙げ制で参加しました。

大規模組織において、どのように主体的な参加を引き出し、リテラシーの底上げを実現したのか。プロジェクトを牽引したデジタルトランスフォーメーションユニット デジタル戦略企画部 デジタルリソースグループ 課長の 佐山 美樹 様、熊谷 真吾 様、中外製薬工業株式会社 経営管理部 人事グループの髙山 綾佳 様(※)に、その戦略と運用の舞台裏を詳しく伺いました。

※プロジェクト推進時は、社内副業プログラムを活用し半年間デジタルリソースグループを兼務。

課題

  • 2030年のビジョン実現に向けDXが重視される中、社員間の「デジタルデバイド」が顕在化
  • 「DXは自分に関係ない」という他人事感が根強く、全社変革の推進を阻む要因となっていた。
  • 全社員がDXを「自分事」化し、主体的に学び続ける組織文化へのアップデートが必要。

解決策・実施した研修

  • キカガクのDXアセスメント+eラーニングを教育プログラムとして採用。
  • 期間を2ヶ月に凝縮。初回アセスメントで弱点を可視化し、学習効率を最大化する設計。
  • 最適なeラーニング受講と再受検を組み合わせ、短時間で成長を実感させるサイクルを実現。

効果・成果

  • 国内グループ社員(8,000人弱)の61%(約4,800人)が主体的に参加。
  • 修了者の平均スコアは10点以上向上し、88%が「Aランク」を達成。
  • 社内認定資格や人事制度が追い風となり、実務でのデジタルスキル活用などの具体的な行動変容が加速している。

全社戦略の鍵は「人」。トップイノベーターを目指す中外製薬が直面した「2,000人の壁」

御社の経営戦略において、DXはどのように位置付けられているのでしょうか。

中外製薬 熊谷様(以下、熊谷様):2021年に発表した成長戦略「TOP I 2030」では、研究開発成果を倍増させ、革新的なグローバル製品を毎年上市する「世界のトップイノベーター」となることをゴールに掲げています。

この高い目標を具現化する「キードライバー」の1つがDXです。DX推進は単なるIT施策ではなく、当社の基盤に関わる経営戦略そのものです。トップ自らが、DXは将来の成長に向けた「選択肢」ではなく、避けては通れない「必然」であるという強いメッセージを社内外へ発信し続けています。

中外製薬HP「成長戦略『TOP I 2030』」より「2030年トップイノベーター像実現に向けた成長戦略」の図を引用

また、2020年3月に発表した「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」では、3つの基本戦略の1つとして全社基盤の構築を挙げています。

中外製薬にしかないデータがあっても、どれほど最先端の優れた技術を持っていたとしても、それを使いこなし、変革を起こすのは結局のところ「人」に他なりません。インフラなどのハード面だけでなく、人財というソフト面に重きを置くことが、当社におけるDXの前提となっているのです。

DX推進、そして人財育成が全社戦略の根幹にあるのですね。では、その過程でどのような課題に直面されていたのでしょうか。

熊谷様:外部からは「DXプラチナ企業」に選定されるなど評価をいただく機会も増えましたが、社内を見渡すと、部署や職種によって各種デジタルツールの活用率などに温度差があり、この「デジタルデバイド」が推進のボトルネックとなっていました。

「DXの重要性は理解できるが、それはDX推進部門や一部の専門家の仕事であり、自分には関係ない」――そんな「他人事感」を抱く社員が、依然として少なくない状況だったのです。

中外製薬株式会社 デジタルトランスフォーメーションユニット デジタル戦略企画部 デジタルリソースグループ 熊谷 真吾 様

中外製薬 佐山様(以下、佐山様):これまでも、業務課題の解決にデジタルを活用するよう全社的に働きかけてきたものの、実際にアクションを起こすのは高関心層に限られていました。

今回の施策を検討するにあたり、私たちが最も重視したのは「組織風土の変革」です。デジタルに対する全社員の意識を引き上げ、DXを自分事として捉えられる土壌を整える必要があると感じていました。

中外製薬工業 髙山様(以下、髙山様):社内には以前から学習コンテンツやDXプロジェクトへの参画などの場が用意されていましたが、日頃あまりデジタルに馴染みのない社員にとって、自らこういった機会を活用するのは心理的ハードルが高いものでした。「あれはスキルの高い人たちのためのもの」という先入観が、学びのブレーキになっていたのです。

熊谷様:様々な施策を行なうなかで、「2,000人の壁」があると感じていました。当社には8,000人弱の社員が在籍していますが、新たな取り組みを行う際、自主的に参加してくれるのは多くて2,000人ほどであり、それを超えることがなかなかできずにいました。デジタルデバイドの解消に取り組むためにはブレイクスルーが必要でした。

デジタル苦手層の「あるある」を潰す設計。なぜキカガクの「アセスメント+eラーニング」を選んだか

そうした背景の中、教育プログラムの選定にあたって複数社のサービスを比較されたと伺っています。最終的にキカガクをパートナーに選んだ決め手を教えてください。

熊谷様:プログラム(名称:DXリテラシー向上プログラム)の構築にあたり、私たちは学習者が陥りがちな「3つのつまづきポイント」を確実に解消したいと考えていました。その理想に対して、最も実効性の高いソリューションを提示してくれたのがキカガクでした。

社内説明資料より引用(提供:中外製薬)

まず、デジタルに苦手意識を持つ層でも迷わずに進められ、着実な成長を実感できる設計を高く評価しました。いきなり講義を視聴するのではなく、まずはアセスメントで「現在地」を客観的に把握する。その結果に基づき、自身に必要なeラーニングをピンポイントで受講する。そして最後に再びアセスメントを受け、伸びたスコアを確認する。この一直線の導線がわかりやすく、学習者にとってのつまづきを最小限にできると感じました。

髙山様:従来も、意欲があれば取り組めるコンテンツは社内で多数用意されていましたが、「何から手をつければいいか分からない」という悩みや、日常業務との関連性が見出せずに後回しにしてしまうといった傾向がありました。

キカガクのプログラムは、アセスメントの結果から「受講すべき内容」が自動的に提示されるため、迷いがありません。自分の弱点が克服され、知識が積み重なっていく手応えが可視化される仕組みは、リテラシーの低い層にとって非常に取り組みやすいと感じました。

中外製薬工業株式会社 経営管理部 人事グループ 髙山 綾佳 様

デジタル苦手層がつまづきそうなポイントが解消されていて、効率的に学べる点を評価されたのですね。

熊谷様:加えて、大きな決め手となったのが「フィージビリティ(実現可能性)」です。

1回あたり20分ほどで受検できるアセスメントと、1つ約10分、全体でも約2.5時間のeラーニングで構成されており、短時間で基礎知識を効率的に得られる設計を高く評価しました。

どれほど内容がよいものでも、社員の負担が大きすぎては全社規模のプロジェクトとして実行できません。この「数時間で完結できる」というタイムパフォーマンスの良さは、多忙な社員に取り組んでもらう上で非常に重要でした。

「強制」しない。マーケティング手法を取り入れ全社員の6割を参加に導く

プログラムの運用において、貴社ならではのこだわりや工夫はありましたか?

熊谷様:私たちが徹底してこだわったのは「人の行動を変えること」です。そのために、大きく3つの施策を講じました。

1つ目は、受講期間の短縮です。キカガクのアセスメント・eラーニングの受講期間は1年間でしたが、当社のプログラムはあえて2ヶ月という短期間に設定しました。100名規模で実施した先行トライアルで「期間が長くなっても先送りしてしまうだけ」という受講者の本音を反映し、短期集中でやりきる設計にしました。

2つ目は、原則「手挙げ制」にした点です。会社からの強制ではなく、自らの意思で「受ける」と決めるプロセスを挟むことで、主体的な学習姿勢を育む狙いがありました。

そして3つ目が「紹介を促すコミュニケーションデザイン」や、「Power Automateなどを活用した個別リマインド」など、マーケティング手法の活用です。

なぜ社内プロジェクトの推進にあたり、マーケティング手法を取り入れられたのでしょうか。

熊谷様:私たちがリーチしたい層は、メールの件名に「デジタル」や「DX」があるとつい回れ右してしまう社員です。そうした層に、私たちからダイレクトにアプローチすることは難しい。

そこで、デジタルへの関心が薄い人にも興味を持ってもらうために、事務局からの告知だけに頼らない「紹介」を推奨しました。全社員を対象に実施したオンライン説明会も、ゴールを「説明会に参加した本人のエントリー」ではなく、「(本人のエントリーは当然として)周りの仲間にこのプログラムを紹介してもらうこと」に設定しました。

事務局からのメールには反応しない方でも、直属のマネジャーや隣の席の同僚から「これ、短時間で終わるし役立つよ」と声をかけられれば、反応は劇的に変わります。

受講の申込フォームには任意で紹介者の記入欄を設け、誰が「社内インフルエンサー」として周囲を動かしているのかをデータに基づいて可視化しました。その結果、事務局からではなく、紹介をきっかけに参加した社員が過半数を占めました。数十人もの仲間に影響を与えている意外なキーパーソンの存在も明らかになるなど、興味深い発見がありました。

髙山様:また、受講完了率を上げるために「1対1のコミュニケーション」も実践しました。Power AutomateやPythonを活用し、受講者の進捗状況に合わせてパターン分けした「個別リマインド」の配信を半自動化して行いました。単なる督促ではなく、アセスメント結果やeラーニング進捗率を踏まえた応援メッセージや、先行トライアル参加者からのコツを共有するなど、一人ひとりに寄り添い伴走感を重視しました。

自動化によって効率を高めつつ、そこに人間味のある「熱量」を込める。その結果、受講者からは感謝や気付きなどを返信いただくことも多く、一斉メールでは起きにくい温かな交流が生まれ、結果として学びが加速しました。

社内説明資料より引用(提供:中外製薬)

平均11点スコアアップ。データが証明する「やればできる」という成功体験

DXリテラシー向上プログラムの達成目標はどのように設定されましたか。

熊谷様:受講者の達成目標は「Aランク(正答率80%以上)」と、あえて高く設定しました。「難しすぎるのでは」という懸念もありましたが、当社が目指す人財像から逆算し、妥当な水準と考えました。

一方で、学習意欲を高める仕掛けとして人事システムとの連動を実現しました。Aランク取得者には「DXリテラシー認定」、さらに上のSランク・SSランク取得者には「DXリテラシーマスター認定」として、人事システムに正式に登録される認定資格を新設しました。

2024年からのジョブ型人事制度への移行も追い風となり、自らの市場価値を高めたいという社員の意欲にうまく応えられたと感じています。

最終的な成果をお聞かせください。

熊谷様:手挙げ制で約4,800人が参加し、修了率(2回目のアセスメントまで受検)は92%、そしてAランク合格率は88%という結果となりました。

DXアセスメント スコア分布図(提供:中外製薬)

1回目のアセスメントの平均スコアは72点満点中52点でしたが、学習後は63点と11点向上しました。また、アセスメント結果に基づいて推奨されたeラーニングの進捗率が高い人ほど、再受検時のスコアが伸びる傾向がデータで確認されました。これは、デジタルが苦手な層であっても「自分に合った内容を正しく学べば知識を身に付けられる」という確かなエビデンスになりました。

eラーニングの受講により、スコアのバラつきも大幅に解消されました。一部の得意層だけが伸びるのではなく、受講者全体の底上げがなされ、全体的な知識レベルの平準化が実現しました。デジタルデバイド解消に向けた基礎を構築できたと考えています。

受講した社員の皆様からは、どのような反響がありましたか。

熊谷様:事後アンケートでは「リテラシー向上を実感した」という声が87%、「さらに学びたいと意欲が向上した」が76%でした。

また、具体的に取り組むようになったこととして、「業務において生成AIをより積極的に使用するようになった」「デジタル関連のニュースに関心を持つようになった」「基本情報技術者試験に挑戦しようと考えている」といった声も寄せられています。

参加した社員は知識を得ることで、DXに対して気持ちの面でも前向きになり、仕事や日常生活で生成AIなどの新しい技術を活用しようという意欲が高まりました。これこそが本プログラムの大きな成果です。

基盤は整った。リテラシーの先にある「全社員AI活用」のフェーズへ歩みだす

DX推進について、今後の展望をお聞かせください。

中外製薬株式会社 デジタルトランスフォーメーションユニット デジタル戦略企画部 デジタルリソースグループ 課長 佐山 美樹 様

佐山様:今回の取り組みは、単なるスキル習得に留まらず、組織風土そのものを変える一歩となりました。「DXは専門家の仕事」という思い込みが払拭され、自分事として意識できる社員が増えたことの意義は非常に大きいと考えています。

当社は2024年末に新たに「AI戦略」を策定し、全社員がAIを使いこなし成果を出す世界を目指しています。今後は、基礎となるリテラシー教育から「実践」を主体としたフェーズに移行し、AI活用を軸に「具体的な成果を出すアクション」へと昇華させていきたいと考えています。

熊谷様:紹介制や個別リマインドなど、今回挑戦した新たな試みは、極めてポジティブな結果をもたらしました。今後はこれらの成功体験をノウハウとして蓄積し、UX(ユーザー体験)に配慮した施策の再現性を高めていきたいと考えています。事務局が一方的に発信するのではなく、社員が自ら動き、自然と広まっていく。そんな状態を目指しています。

「DXが当たり前」の文化を土台に、革新的な医薬品やサービスをより早く患者さんへ届けるため、これからも歩みを進めてまいります。

最後に

最後までお読みいただきありがとうございました。

キカガクでは業界業種を問わず 1000 社以上の企業に導入いただき、DX 人材育成における様々な課題解決をご支援しております。

20 社以上の育成事例もご紹介しておりますので、ご興味のある方はぜひご参考ください。

また、弊社キカガクが提供しているサービスの特徴やコース詳細についての資料は下記になります。コースごと学習内容の詳細やスケジュール等今回ご紹介してきれていないコースやサービスもご用意あります。DX 研修を検討されている方のご参考になれば幸いです。

ご担当者

中外製薬株式会社 デジタルトランスフォーメーションユニット デジタル戦略企画部 デジタルリソースグループ 課長 佐山 美樹 様 熊谷 真吾 様 中外製薬工業株式会社 経営管理部 人事グループ 髙山 綾佳 様

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