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AIをどこに配置し、ビジネスを変革するか。ロジスティードが挑んだ「全体をデザインできる」若手IT人材育成

ロジスティード株式会社

  • ビジネスアーキテクト
  • 実践
  • 若手
  • 陸運業

業務全体を俯瞰して全体最適な設計ができる視点を持った若手をどう育てるか。ロジスティード株式会社(以下、ロジスティード)のシステム企画・保守・運用を担うIT基盤本部は、AI推進を進める中でこの課題に直面しました。そこで同社はキカガクを研修パートナーに迎え、若手10名を対象とした2ヶ月間の実践プログラムを始動。

研修は、経営思考を学ぶゲーム型研修から、AIエージェント実装までを網羅。部門横断チームで課題設定から成果物を作りきるまでの成功体験を通じて、若手は視座を大きく高め、現在は「AIエバンジェリスト」として社内のAI活用プロジェクトを力強く牽引しています。育成の背景と研修後の変化について、IT基盤本部 金 載殷 様、同部の井坂 将隆 様、李 晟豪 様に伺いました。

課題

  • IT部門の縦割り(サイロ化)により、若手の横連携や全体俯瞰力の養成が課題に。
  • 変化が大きい時代に着実に業務をこなす力に加え、自ら課題を見つけて動く主体性が必要
  • 技術による変化加速のために、組織全体のAI活用を推進する現場の「ハブとなる人材」が不足していた。

解決策・実施した研修

  • IT基盤本部の若手10名が参加し、2ヶ月間の長期研修を実施。
  • 経営視点を養うゲーム型研修で、部門を跨いだコスト意識や全体俯瞰力を醸成
  • 業務のデジタル化からPoC企画、AIエージェント実装まで学び、段階的にPBLで実践

効果・成果

  • 受講者10名が「AIエバンジェリスト」となり、各現場でAI推進施策をリード
  • 調達購買AIなどのアイデアがPBLから生まれ、実際のPoCへステップアップ。
  • 研修内容を基に定期的に社内勉強会を実施、非IT部門へも広がりを見せる。

任された仕事は必ずやり遂げる。その先の視野と発想力をどう育てるか

皆様が所属するIT基盤本部の概要と業務内容を教えてください。

ロジスティード 金様(以下、金様):IT基盤本部は、国内外のシステムの企画・運用・保守を中核として担う部門です。ミッションは、グローバルな成長を見据えた大規模システムの標準化と、ビジネスを包括的に支えるための全体最適化にあります。

私はその中でも特に、社内DX推進のプロジェクトマネージャー、IT人材の育成を中心に幅広い役割を担っています。

今回の研修を企画される前、部署内の教育環境においてどのような課題がありましたか?

金様:当社には元々、人事部門が提供する体系的な教育プログラムがあり、物流や営業など職種別にきめ細かな教育が行われてきました。

IT部門向けにもプログラムは提供されている一方で、IT基盤本部においては担当するシステムごとに組織がいわゆる「サイロ化」してしまいがちで、横のつながりが見えにくいという構造的な課題を抱えていたのです。隣のメンバーがどのような知識を持ち、どう仕事を進めているのかが、若手のうちには見えにくい環境でした。

特に「AI」という新しい領域に挑むには、正解となるベストプラクティスが確立されていません。部署の壁を取り払い、若手たちが何でも相談し合えて、お互いに学びを深められるような「能動的なコミュニティ」を作りたいと考えていました。

ロジスティード株式会社 IT基盤本部 金 載殷 様

研修で育成したい、理想とする人材像はどのようなものでしたか?

金様:AI推進を担う「AIエバンジェリスト」の確保が急務でした。単にAIのプロンプトを叩くだけではなく、ビジネス全体の流れを俯瞰して、AIをどこにどう配置すべきかをアーキテクチャの視点から設計できる人材です。

その視点を養うためには、経営戦略とIT戦略を連動させ、組織全体のシステムやプロセスを最適化する手法、「エンタープライズアーキテクチャ(EA)」を身に付けることが必要だと、社内の上層部・実行層で協議し、求められております。

若手メンバーは、任された保守業務や目の前の仕事を高いクオリティでやり遂げる責任感と実行力を、すでに十分に備えています。今回の主題は、その強みを土台に何を足すか、でした。

変化の激しいこの時代では、解決すべき課題そのものが日々変わります。だからこそ、「自ら課題を見つけ出し、仮説を立て、全体最適を考えて動き出せる力」を、若手のうちに獲得してほしかったのです。

他にない「実践的AI技術を学べるPBL」がパートナー選定の決め手

パートナーを選定するにあたっての「比較検討の軸」を教えてください。

金様:対象者が前向きに受講できて、面白いと思えるか」、そして「最終的に、自分たちの手で成果物を出し切れるか」を重視しました。せっかく予算と時間をかけて研修を実施するのですから、一方通行の講義で終わらせず、全員が主体的に参加できるプログラムにしたいと考えていました。

キカガクを研修パートナーとして選んだ決め手は何でしたか?

金様:提案内容が私たちの要望に沿っており、なおかつこれなら受講者が面白さを感じられると思えた点です。

企業経営を体験できる「BMG(Business Management Game)研修」を提案いただき、「ゲーム形式で経営視点を学べる」という切り口が面白そうだと感じました。当社では既に、サプライチェーンの各ポジションを模擬体験できるゲーム形式の研修を取り入れており、馴染みやすい土壌もありました。

若手にコスト意識や経営視点を養わせたいという狙いともマッチしていました。

ロジスティード 井坂様(以下、井坂様):PBL(Project-Based Learning:課題解決型)研修の内容も優れていました

当時、他社のPBL研修はデータサイエンティスト向けのものが大半で、実務でダイレクトに使えるAIエージェント構築技術そのものをPBLに組み込んでいる会社は、ほとんど見当たりませんでした。

インプットを定着させるには、チームで話し合って手を動かし、成果物を作り上げるPBLのような形式の学習が最も効果的だと考えています。カリキュラム設計の観点でも扱えるテーマの面でも、当社に合っていると感じました。

ロジスティード株式会社 IT基盤本部 井坂 将隆 様

研修の設計段階での、キカガクの対応やサポート体制についてはどのように感じられましたか?

金様:急遽、AIエージェント実装の内容をカリキュラムに追加する要望を出した際、短期間での要望にもかかわらず柔軟に対応していただけました。要望を汲んだ逆提案もしていただき、安心して任せられると感じたのが印象に残っています。

井坂様:私は入社5年目で、今回の研修の事務局を務めながら自分自身も受講したのですが、運営側の視点でも連絡をこまめにいただき、発注に関する手続きも迅速に行っていただけました。提案資料も非常に丁寧でわかりやすく、上長への報告や比較検討がしやすいものでした。

金様:社内の勉強会の運営をしたことはありましたが、2ヶ月間の長期研修を運営するのは初めてでした。初めてでも研修内容がイメージしやすい資料を提示いただけたのは非常にありがたかったです。

カリキュラム設計と2ヶ月間の運営。初めての長期研修をどう乗り越えたか

今回実施した研修の全体像を教えてください。

金様:BMG研修を皮切りに、段階的にAIのステップを登っていく密度の高いカリキュラムを設計しました。

「生成AI実践メソッド(企画・リサーチ編)」で生成AIの概念や活用方法を掴み、「業務デジタル化実践」で実務接続を考え、「PoC企画コース」で説得力ある提案手法を磨き、「Dify実践コース」でノーコードAI実装を習得。そして後半のメインとなる全8回の「PBL」で、学んだすべての知識を融合させました。

PBLテーマは、調達購買の最適化、ワークフロー自動化など、実務に近いテーマを設定。受講者10名が3チームに分かれ、事務局を務めた井坂と李も、受講者の一人としてチームに加わっています。

研修設計や運営におけるキカガクの伴走支援はいかがでしたか?

井坂様:講師が実際にAIを実務で使いこなしている専門家ということで、ベストプラクティスの演習及び社外の立場で、多角的な視点から教えていただくことができました。導入としての全体的な概要から、詳細な実践技術まで、非常にわかりやすく役に立つものでした。

金様:研修設計時、営業の方だけでなくカリキュラム設計者の方ともお話ししながら進めることができた点もよかったです。研修運営に関わる全員が育成ゴールを共有できたからこそ、長期間の研修もブレることなく運営できました。

10名のAIエバンジェリストが始動、PoCに発展した研修発アイデアも

研修を経て、組織としてどのような成果が生まれていますか?

金様:受講者10名が、AIの導入を推進・加速する「AIエバンジェリスト」として実際の業務部門に深く入り込んで活動しています。プロジェクトによって進度は異なりますが、As Is / To Beの整理から始まり、現在はトライアルを進める段階まで進んでいます。

なお、PBL研修から生まれたアイデアが施策として動いており、PoCに発展した事例もあり、DX推進がより加速していくことを実感しています。

現在、推進プロジェクト自体も、社内部門の横断にて拡大しています。ここまで順調なスタートを切れているのは、教育の効果があってこそだと感じています。

井坂様、李様は、実際に研修を受けてどのような変化や手ごたえを感じていますか?

井坂様:業務を見渡す際の「視野の広さ」が大きく変わりました。以前は、自分が担当するシステムをどう改善し、どう活用していくかという視点にとどまっていました。

研修後は「どのようなデータが生まれ、どう処理されて経営層の判断につながっていくのか」「バリューチェーン全体にどんな影響を与えるのか」「入力する現場スタッフの体験はどう変わるか」という一連の流れを自発的に考えるようになりました。

AIの活用についても、プロンプトを打って結果を受け取るだけでなく、どう使えば一番良いアウトプットが得られ、それを使って業務自体をどう変えていけるかをイメージできるようになったことが、大きな成果だと感じています。

ロジスティード 李様(以下、李様):私はIT専攻のため、元々は技術のことしか分かりませんでした。プロジェクトの進め方や現場業務の整理の仕方は手探りでしたが、研修を通じて、プロジェクトをやり遂げるまでの道筋を体験として理解できました。

現在は、この学びを基盤として、定期的にプロジェクト内の勉強会を推進しています。当初はIT部署の中で研修を受けなかった人を対象とした会でしたが、参加者が増え、現在では非IT部署にも声をかけています。

BMG研修で得たコストや財務の視点は、実務においてどのように活きていますか?

李様:以前は経営やコストを意識することがほとんどありませんでした。初めて財務諸表をじっくりと見て、お金の流れの重みを知りました。今では実務で「数万円、数十万円を使う」という際にも、「どれくらいの売上と利益があれば、このコストを回収して利益を残せるか」を自然と意識するようになりました。

ロジスティード株式会社 IT基盤本部 李 晟豪 様

井坂様:実務でAIを活用する際、AIのトークンコスト(利用料)や裏側のシステム運用費など、開発の先にある経営的なランニングコストへの感覚が自然と根付いたと感じています。

また、同じ部門でありながら日頃接点のなかった他のメンバーとグループになり、ゲーム形式でワイワイ競い合いながら、一気に心理的距離が縮まったことも副次的な良い効果でした。

研修に対する上長や経営層からの評価はいかがですか?

金様:最終日の成果発表会には、社内の部門長が全員出席しました。若い後輩の発想や努力に刺激を受けたようで、他の部門からも自部門でも取り組みたいという反応がありました。

また、自らの言葉で考え発信できる人材の育成に対する期待が示されています。社員それぞれが俯瞰的視点を持つことで、より良いサービスが生まれる可能性が高くなる。そこに期待を持っていただけたのだと思います。

日々進歩する技術を実装し、物流現場の課題を解決する礎となる

研修を修了した人材が社内で活躍することで、どのような変化を期待していますか?

金様:当社は、グローバル3PLリーディングカンパニーを目指しています。そのため、グローバルでの成長を目指しており、この目標を達成するには、AI含め日々進歩するさまざまな技術を、適材適所でタイミングよく現場に提供できる体制を作る必要があります。今回研修を修了したAIエバンジェリスト達がその役割を担ってくれることを期待します。

我々物流業界は、ソフトウェア面での技術革新が目覚ましい一方、ハードウェア面ではドライバーや倉庫人員の不足、人件費の高騰等の課題も多く抱えています。

AIを含めたIT技術で課題を解決し、現場を支援するのが我々IT基盤本部のミッションだと考えています。

今回の研修を踏まえ、今後の人材育成についてどのようなロードマップを描いていますか?

金様:AI活用を推進する中では、AIの出す答えをそのまま信じ込むのではなく、人間ならではの思考力を鍛えることも欠かせません。クリティカルシンキング等のスキルも、教育カリキュラムに含められればと考えています。

また、現場部門のデジタルリテラシーを高める施策や、エンタープライズアーキテクチャのフレームワークをさらに実務へ落とし込むための次のステップも模索中です。

体系的な教育に固執するのではなく、課題が生じたタイミングで、必要な研修をタイムリーに受けられるインフラのような、アジャイル型学習の仕組みを下期に向けて具現化していきたいと考えています。

研修を経て、今後どのように会社に貢献していきたいか、井坂様、李様ご自身の展望はいかがでしょうか?

井坂様:現在担当している輸配送システムをより良いものにすることを当面の目標としています。

集計・蓄積したデータをどう活用するのかを考えるためには、実際に現場でどういう業務が行われているのか、システムがどう動いているのか、他のシステムとどう連動するのか、「木を見て森も見る」ように全体を俯瞰して把握することが不可欠です。

この研修で掴んだ高い視座をベースに、情報のインプットを加速し、ビジネスそのものをデザインできるような人材に成長したいです。

李様:技術力を高めるだけでなく、その価値を誰にでもわかりやすく発信できる「エバンジェリスト」でありたいです。

ゆくゆくは、技術と業務・経営を組み合わせ、より良い課題解決や業務の変革のアイデアをチームや会社全体に発信し、牽引していく存在になっていきたいと考えています。

写真左:株式会社キカガク DXコンサルタント&セールス 齋藤 準

最後に

最後までお読みいただきありがとうございました。

キカガクでは業界業種を問わず 1000 社以上の企業に導入いただき、DX 人材育成における様々な課題解決をご支援しております。

20 社以上の育成事例もご紹介しておりますので、ご興味のある方はぜひご参考ください。

また、弊社キカガクが提供しているサービスの特徴やコース詳細についての資料は下記になります。コースごと学習内容の詳細やスケジュール等今回ご紹介してきれていないコースやサービスもご用意あります。DX 研修を検討されている方のご参考になれば幸いです。

ご担当者

IT基盤本部 金 載殷 様 井坂 将隆 様 李 晟豪 様

DXスキル種別

ビジネスアーキテクト

DXリテラシーレベル

実践

対象者(階層別)

若手

業界

陸運業


若手社員向けAIエバンジェリスト研修

BMG研修を皮切りに、生成AIの理解、業務デジタル化、PoC企画、Dify実装までを段階的に学び、PBLでの実践を通して知識を融合する設計の研修。

  • 期間:5日間+PBL約1ヶ月
  • 形式:オフライン+オンライン
  • 参加人数:約10名
  • 対象:IT部門の若手社員

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