株式会社SUBARU 様

目次
学生から社会人への変革点と言える新人研修。業務ですぐに活躍できるよう、何を身につけてもらうか。多くの企業が向き合うテーマです。
2022年からキカガクと共に人財育成に取り組んできた株式会社SUBARUは、新人研修を「新人AIネイティブ研修」としてアップデート。AIに答えを聞くのではなく、「AIを相棒として共に仕事をする」ことができるようになる研修を目指しました。
3つのコースでITツールのスキル習得から実践的なAIの業務活用までを段階的に設計し、未経験からスタートし、配属後にAIを活用した業務効率化に取り組む新人も現れています。
研修アップデートの背景や設計の工夫、受講後の変化について、株式会社SUBARU IT戦略本部 データDX推進部 兼 技術本部 技術開発部の斎藤様、技術本部 技術管理部 開発人財企画課の金坂様、IT戦略本部 データDX推進部の松原様に伺いました。
※掲載内容は取材当時(2026年9月)時点の情報です。
課題
解決策・実施した研修
効果・成果
SUBARU 金坂様(以下、金坂様):現在、自動車業界は100年に一度の変革期と言われています。電動車、自動運転、コネクティッドサービスなどの新しい技術を次々と取り入れ、ソフトウェアなしでは成り立たない業界となりました。
開発プロセスもデジタル化が進み、これまでの専門知識に加えてデジタル技術の習得が不可欠です。新しい技術を加えた上で、より早く、より正確に、成果を出すことが求められています。
新人研修は、学生と社会人の間という大きな転換期です。今回のメインテーマであるAIをはじめとするデジタル技術はもちろん、仕事の受け取り方や自ら課題を設定して解決に取り組む姿勢を学び、成果創出の経験を積む場としても重要だと考えています。
新人が配属後、周囲の支援を受けながら早期に業務へ適応し、自ら考えて行動できるようになることを目的に、研修を企画・設計しました。

技術本部では、自動車業界を取り巻く技術変化に対応するため、2022年からAI教育の取り組みをスタートしました。当初は、今後どのような技術変化が起きても対応できる基礎を身に付けることを重視し、機械学習やディープラーニングなどを幅広く学ぶ内容でした。
その後、生成AIをはじめとするテクノロジーの進化や働き方の変化を踏まえ、現在は技術本部にとどまらず、全社でのAI活用と人財育成へと取り組みを広げています。
その人財育成の基盤となるのが、全社員を対象としたIT・デジタル教育プログラム「ITアカデミー」です。SUBARUでは、全従業員がIT・データを活用して自ら変革をリードできる「スマートエンプロイー化」を目指し、職種や役割に応じた学習機会を整備しています。
重視しているのは、ITやAIのスキルを身に付けること自体ではありません。「AIに任せられるものはAIへ。人は、人にしかできない価値創造へ」という考え方のもと、テクノロジーを活用して仕事の進め方や業務プロセスそのものを変えていくことです。今回の新人研修も、そうした全社的な人財育成につながる取り組みのひとつです。
SUBARU 斎藤様(以下、斎藤様):キカガクさんとの付き合いは、2022年の「5年で600人育成」プロジェクトからになります。その際は目標を前倒しで達成することができました。以降、複数社を比較検討しながらも、継続してキカガクさんの研修サービスを選定しています。
選定の決め手となったキカガクさんの強みは、研修後のフォロー体制、寄り添って伴走してくれる熱量、そして何より講師の質の高さです。単に知識を教えるだけでなく、受講者にとって身近な先輩のような存在となり、結果として「ああいう人になりたい」と思えるロールモデルになっている点も、大きな魅力だと感じています。
また、若い講師が多いので新人と年齢が近く、心理的ハードルが低くなりコミュニケーション面でプラスに働いたのではないでしょうか。

SUBARU 松原様(以下、松原様):私も4年前にキカガクさんの研修を受けましたが、やはり年齢が近いことで身近な先輩のように感じられる面はありますね。業務でのAI活用について迷った際も、キカガクの講師の方に相談させてもらったくらいです。
受講者が身近な先輩のように感じ、研修後も相談したいと思える関係性を築ける点も、講師の大きな強みだと感じています。
斎藤様:2022年当時はオンライン研修が主流でしたが、私たちは、受講者同士や講師との対話、試行錯誤を通じて学びを自分のものにしてほしいと考え、対面研修にこだわりました。
対面では、講師が受講者の反応やつまずきを捉え、その場で関わり方を変えられます。そのため、講師の質や熱量が研修効果に大きく影響します。我々の研修に対する考え方と、キカガクさんの講師の強みとの相性がよかったことも、継続して選んでいる理由のひとつです。
金坂様:うまく教えてくれることよりも、どれだけ受講生に対して親身になって教えてくれるかが重要なポイントだと考えています。受講生に合わせて教え方を変えてくれるキカガクさんの柔軟さと熱量は、大きな強みだと感じています。
松原様:8時間×9日間、72時間の研修です。3コース構成になっており、デジタルスキルの基礎を学ぶ「IT ツール習得」、AIを自身のビジネスの拡張に用いる方法を学ぶ「ビジネス人財2.0」、AIをBuddy(相棒)として正しく業務に活用できるようにする「AI buddy」の3コースで実施しました。

最低限のリテラシー、スキル習得から、「AIを使って仕事をするとはどういうことか」を学ぶところまでが大まかな流れとなっています。
生成AIに触れた経験を持つ新人は増えていますが、経験や習熟度には個人差があります。また、日常的な利用経験があっても、業務上の目的やリスクを踏まえてAIと協働する力は、別途身に付ける必要があります。
学生時代のAIの使い方と社会人のAIの使い方は異なる、という話から始まり、AIを使った業務を模擬的に行ってアウトプットを出すところまで、一気通貫で設計しています。
そこで、新人を「上司が安心して任せられる状態」まで持っていくことをテーマとしました。これはキカガクさんと企画をブラッシュアップしていく中で出てきたテーマなので、一緒に作り上げることができてよかったと感じています。
松原様:手厚いフォローが一番印象的でした。週1回1時間しっかり時間をとっての定例ミーティングがあるので、意見を交わしながら企画を進めることができました。
我々が「SUBARUの新人にはこうなってほしい」という理想像を提示すると、意図を汲んだうえで的確な提案をくれるので、相乗効果でより良いものを作ることができたと自負しています。
AI業界の変化は激しく、何が正解か、何を目的とするかを策定するのは非常に難しいことです。やり取りの中で、答えを一緒に見つけていけるのがとても良いなと感じていました。

松原様:アンケートでは、目標を上回る高い満足度が確認されました。また、受講後のコメントからは、AIに対する捉え方や仕事への向き合い方に、変化の兆しが見られました。
受講者からは、講師以外にもサポーターがたくさん付いて巡回してくれているので、研修中に迷った際に声をかけてもらえて助かったとの声があがっています。
配属先の上司からも前向きな声が寄せられており、「上司が安心して任せられる状態」という目標に向け、一定の手応えを得ています。
具体的には、「一から教えなくても、自発的にAIを使って仕事に取り組んでくれるので助かる」「ガバナンスやリスクも理解し、適切にAIを活用している」といった声も寄せられています。
研修によって現場にどのような効果が出ているかを正確に確認するため、新人が現場に配属されて半年後、1年後に追跡調査を実施する予定です。
▼受講者の声

金坂様:私は今回の新人AIネイティブ研修の受講者が部下にいるのですが、「AIを相棒として使う」というマインドがしっかり身に付いていると感じます。AIを単なる命令先ではなく、対話しながら成果を高める相棒として捉える姿勢が身に付いています。
プログラミング未経験の受講者が、今回の「AI buddy」研修を通じて、定型的な案内メールの作成・送信準備や、手作業で転記していた情報の集約を効率化する仕組みを構築しました。
配属されて半年くらいですが、もう課内でのAI勉強会で講師をしてもらっています。次は部内の勉強会も任せようと考えています。私が指導しているわけではなく、AIを相棒として自らのスキルを高めて勉強会を作り上げているのを見て、「安心して任せられる状態」という目標を達成できたと感じています。
松原様:AIを使うことでアウトプットが標準化されてしまうのではないか、自分で考えなくなってしまうのではないかという懸念は、社内からも聞こえてきますし、我々も認識しています。
大切なのは、AIに答えを出してもらうだけで終わるのではなく、人が目的や判断基準を持ち、AIとの対話を通じて成果を高めることです。研修ではこの違いをしっかり伝え、「AIに答えを取ってこさせるだけ」にならないようにする必要があります。これについては、今後も定期的に検証し、必要に応じて手を打っていきたいと考えています。
斎藤様:2022年からキカガクさんと一緒に研修を作り上げ、研修の質や再現性は着実に高まっています。一方で、標準化が進んだからこそ、今後は一定の品質を保ちながら、それぞれの講師の経験や個性を、より積極的に生かしてもらってもよいと感じています。
受講者の反応に応じて、講師自身の経験や考えを交えながら踏み込んでもらうことで、研修はさらに魅力的になると思います。応えてくれるという信頼があるからこそ、率直に意見を伝えています。
研修規模の拡大にともない、個々の受講者との向き合い方も見直さなければならないので、引き続き意見を交わしながらより良いものを作り上げていければと思います。

斎藤様:これまでの新人研修は、「入社直後」「生産実習後」などそれぞれのタイミングで単発的に実施する、いわば「点の施策」でした。それを線に、さらには面へと発展させていかなくてはなりません。
新人は若手から中堅、ベテランへと時間軸で業務内容も立場も変化していきます。さらに技術職や研究職、管理職といったキャリア軸を加えて面でカバーし、適切な学びを提供する仕組みへと発展させていきたいと考えています。
目指しているのは、単にAIを使える人を増やすことではありません。新人、若手、中堅、管理職と役割が変わっても、その時々の仕事や課題に応じて、ITやデータを使いながら自ら変革を起こせる人財を育てることです。新人研修を入口として、学びを点から線へ、さらに組織全体を覆う面へと広げていきたいと考えています。
金坂様:アンケートでよくあがる悩みとして、スキルは学んだものの業務につながらないというものがあります。新人がAIという手段を持って現場で戦っていくには、まず足掛かりとして業務につなげてあげることも必要なのではないかと感じています。
そのためにも、新人研修だけで完結させるのではなく、配属先の上司や職場もAI活用の目的と支援方法を理解し、新人が学んだことを実際の業務につなげられる育成の仕組みにしていきたいと考えています。
松原様:今回、AIを中心としたスキルとマインドを学ぶキカガクさんの研修と、社内のガバナンスやSUBARU独自の業務作法を学ぶ内製研修の両方を実施しました。内製と外製、それぞれにしか出せない価値と強みの組み合わせでより成果をあげられたと思っているので、今後もシナジーを強化してより高い成果を目指したいと考えています。
AIは一部の専門人財だけが扱う技術ではなく、多くの社員が業務の中で活用する手段になりつつあります。今後さらに重要になるのは、AIという手段をどう使うかという主体性です。将来的には、「AI研修」を独立したものとして捉えるのではなく、さまざまなビジネス研修の中にAI活用が自然に組み込まれている状態を目指したいと考えています。
金坂様:研修の内容を考えるよりも先に、「研修を受けた後にどうなってほしいか」を具体的に考えるのが重要だと思います。
AIは技術の進歩が激しく、ツールや機能を中心に考えるとすぐに古くなってしまいますが、理想的な姿という軸は普遍的なものです。AIを使ってその理想にどう近づけるかを考えると、ヒントになるのではないでしょうか。
また、意欲のある有志を募ってAI推進タスクフォースを結成するのもおすすめです。広くいろいろな知見が集まり、大きな成果をあげることができています。
斎藤様:新人期は、新しい知識だけでなく、仕事の進め方や考え方の基礎を身に付ける大切な時期です。AIは長く活用できる力だからこそ、キャリアの早い段階でAIと働く姿勢を学ぶことは、長期的に大きな価値を生む投資になると考えています。

最後までお読みいただきありがとうございました。
キカガクでは業界業種を問わず 1000 社以上の企業に導入いただき、DX 人材育成における様々な課題解決をご支援しております。
20 社以上の育成事例もご紹介しておりますので、ご興味のある方はぜひご参考ください。

また、弊社キカガクが提供しているサービスの特徴やコース詳細についての資料は下記になります。コースごと学習内容の詳細やスケジュール等や今回ご紹介してきれていないコースやサービスもご用意あります。DX 研修を検討されている方のご参考になれば幸いです。
ご担当者
業界
輸送用機器
DXリテラシーレベル
入門
対象者(階層別)
新人
若手
新人AIネイティブ研修
デジタルスキルの基礎を学ぶ「IT ツール習得」、AIを自身のビジネスの拡張に用いる方法を学ぶ「ビジネス人財2.0」、AIをBuddy(相棒)として正しく業務に活用できるようにする「AI buddy」の3コース構成の研修。
