AI エンジニアの仕事内容について、わかりやすく説明します!
AI エンジニアの仕事内容について、具体的などんなことをするんだろう?と感じていませんか?
この記事では、AI エンジニアの仕事内容を実例を交えながらわかりやすく解説していきます。
AI エンジニアがどのような問題に取り組み、どのようなプロセスを経て AI システムを開発するのか、その一連の流れを段階的に説明することで、AI エンジニアの業務の全体像を明確にします!
- AI エンジニアの仕事は、問題の定義と目標設定から始まり、データの収集と前処理、アルゴリズムの選択と設計、モデルの訓練と評価、モデルの展開と運用、結果の分析とフィードバックまでの一連のプロセスを含む。
- 各段階で必要とされるスキルは多岐にわたり、コミュニケーション能力、問題解決能力、ビジネス理解力、データハンドリング、機械学習の知識、プログラミングスキル、機械学習フレームワークの使用、モデル評価、API の開発、クラウドインフラの知識、データ分析力などが挙げられる。
- AI エンジニアの仕事は複雑で広範囲に及ぶため、実際のプロジェクトでは複数の AI エンジニアが協力し、それぞれの専門スキルを活かして役割分担をしながら作業を進めることが一般的である。
AI エンジニアの仕事内容とは
AI エンジニアのなかにも、データエンジニア、機械学習エンジニア、MLOps エンジニアなどが細分化されています。
それらの職種に共通する仕事を 6 つの段階に分け、それぞれの段階での業務内容、現場での具体例、必要とされるスキルを詳しく解説します。
※ ここで紹介する現場での例は架空のもので実際の例ではありません。
問題の定義と目標設定
AI エンジニアの仕事はまず AI を開発する、ではありません。まず解決すべき問題を明確に定義し、プロジェクトの目標を設定することから始まります。
この段階では、クライアントや社内の関連部署とのコミュニケーションを通じて、要件を詳細に分析します。
また、プロジェクトの期限、予算、リソースなどの制約条件を確認し、実現可能性を評価します。
現場での例
大手製造業のクライアントが、工場の設備故障を予測するシステムの開発を依頼してきたとします。
AI エンジニアは、設備のセンサーデータや過去の故障履歴を分析し、予測精度の目標(例:リコール率 90% 以上)を設定します。また、開発期限、予算、必要な人材やツールを確認し、プロジェクト計画を立案します。
この段階で必要なスキル
- コミュニケーション能力:クライアントや社内の関係者と効果的にコミュニケーションを取る能力
- 問題解決能力:複雑な問題を分解し、明確に定義する能力
- ビジネス理解力:クライアントのビジネス課題を理解し、適切な目標を設定する能力
データの収集と前処理
目標設定後、AI エンジニアは問題解決に必要なデータを収集します。データは社内の各部署から収集したり、外部のデータソースを利用したりします。
収集したデータは、クリーニング、ラベリング、特徴量エンジニアリングなどの前処理を行ない、モデル訓練に適した形式に整えます。
現場での例
設備故障予測システムの場合、センサーデータ、メンテナンス記録、故障履歴などを収集します。
欠損値の補完、異常値の除去、データの正規化などの前処理を行ないます。
また、故障に関連する特徴量(稼働時間、振動レベル、温度など)を選択し、特徴量エンジニアリングを行ないます。
この段階で必要なスキル
- データハンドリング:大量のデータを効率的に収集、処理する能力
- データクリーニング:欠損値や異常値を適切に処理する能力
- 特徴量エンジニアリング:機械学習モデルに適した特徴量を設計、抽出する能力
アルゴリズムの選択と設計
収集したデータの特性を踏まえ、AI エンジニアは適切な機械学習アルゴリズムを選択します。
例えば、時系列データには RNN や LSTM、画像データには CNN が用いられます。選択したアルゴリズムを問題に合わせてカスタマイズし、ハイパーパラメータの調整を行ないます。
現場での例
設備故障予測では、時系列データを扱うことができる長短期記憶 (LSTM) ネットワークを使用します。LSTM のユニット数、層の数、活性化関数などのハイパーパラメータを調整し、モデルアーキテクチャを設計します。
この段階で必要なスキル
- 機械学習の知識:各種アルゴリズムの特徴や適用条件を理解する能力
- アルゴリズム設計力:問題に適したアルゴリズムを選択し、カスタマイズする能力
- プログラミングスキル:Python, TensorFlow, PyTorch などを用いてモデルを実装する能力
モデルの訓練と評価
選択したアルゴリズムを用い、AI エンジニアは前処理済みのデータでモデルを訓練します。
訓練には、TensorFlow や PyTorch などの機械学習フレームワークを使用します。
訓練後、テストデータを用いてモデルの性能を評価し、精度、再現率、F1 スコアなどの指標を算出します。目標に達していない場合は、ハイパーパラメータの調整や特徴量の見直しを行ないます。
現場での例
設備故障予測モデルを訓練する際、AI エンジニアはデータを訓練用とテスト用に分割します(例:8 対 2)。
複数のハイパーパラメータの組み合わせを試し、交差検証を行ないます。最終的に、目標の予測精度を満たすモデルを選択します。
この段階で必要なスキル
- 機械学習フレームワークの使用:TensorFlow や PyTorch を用いてモデルを訓練する能力
- モデル評価:適切な評価指標を選択し、モデルの性能を評価する能力
- ハイパーパラメータ調整:モデルの性能を最適化するためにハイパーパラメータを調整する能力
モデルの展開と運用
訓練済みのモデルを実際のシステムに統合し、運用を開始します。
AI エンジニアは、API の開発、クラウドプラットフォームへの展開、モデルの監視と維持管理を行ないます。
運用中は、モデルの性能を継続的に監視し、必要に応じて再訓練やアップデートを行ないます。
現場での例
設備故障予測システムを工場の設備管理システムと連携させ、リアルタイムで故障予測を行なうように設定します。
AI エンジニアは、予測 API を開発し、クラウド上で運用します。定期的にモデルの予測精度を評価し、データのドリフトを検知した場合は再訓練を行ないます。
この段階で必要なスキル
- API の開発:機械学習モデルを API として提供する能力
- クラウドインフラの知識:AWS や GCP などのクラウドプラットフォームを使いこなす能力
- モデルの監視と維持管理:運用中のモデルを監視し、性能を維持する能力
結果の分析とフィードバック
AI モデルの予測結果を分析し、問題解決の度合いを評価します。設備故障予測の場合、予測精度や予測による故障の未然防止率などを分析します。
結果をもとに、モデルやシステムの改善点を見出し、次のプロジェクトにフィードバックします。
現場での例
設備故障予測システムの運用結果を分析し、故障の予測精度や予測によって削減された修理コストを評価します。
改善点を特定し、次回のモデルアップデートや新たな機能の追加に反映します。
この段階で必要なスキル
- データ分析力:予測結果を分析し、意味のある知見を引き出す能力
- 課題発見力:分析結果から改善点を特定する能力
- プロジェクトマネジメント能力:得られた知見を次のプロジェクトに活かす能力
AI エンジニアの具体的な仕事内容の例
AI エンジニアはさまざまなところで活躍していますが、その仕事内容の例の一部を紹介いたします!
自然言語処理を用いた感情分析システムの開発
解決できる課題
- ソーシャルメディア上の顧客の反応を自動的に分析し、ブランドイメージを把握する
- 製品レビューから顧客の満足度を推定し、製品改善に役立てる
仕事内容
- 感情分析のための機械学習モデルの開発と評価
- 大規模なテキストデータの収集と前処理
- 感情分析結果の可視化とレポーティング
画像認識を用いた自動運転車の障害物検知システムの実装
解決できる課題
- 自動運転車の安全性を向上させ、事故を未然に防ぐ
- 複雑な交通環境下での自動運転車の認識能力を強化する
仕事内容
- 物体検出と意味領域分割のための深層学習モデルの開発
- 自動運転車のセンサーデータの処理と統合
- 障害物検知システムの評価とシミュレーション
推薦システムのためのユーザー行動データの分析と機械学習モデルの構築
解決できる課題
- ユーザーの興味関心に合わせたパーソナライズされた商品推薦により、顧客満足度と売上を向上させる
- ユーザーの行動パターンを分析し、効果的なマーケティング戦略を立案する
仕事内容
- ユーザーの行動データの収集と前処理
- 協調フィルタリングや内容ベースのフィルタリングを用いた推薦モデルの開発
- 推薦システムの性能評価とチューニング
音声認識と合成を用いた対話型 AI アシスタントの開発
解決できる課題
- ユーザーとの自然な対話を通じて、情報検索やタスク自動化を実現する
- 24 時間 365 日利用可能な仮想アシスタントにより、顧客サポートの効率化を図る
仕事内容
- 大規模な音声データセットを用いた音声認識モデルの訓練
- 自然言語理解と対話管理のためのアルゴリズムの開発
- 音声合成技術を用いた自然な応答の生成
ヘルスケア分野における AI を用いた診断支援システムの設計
解決できる課題
- 医療画像の自動分析により、疾患の早期発見と診断精度の向上を図る
- 患者のバイタルデータをリアルタイムで分析し、異常の早期検知と予防に役立てる
仕事内容
- 医療画像データの前処理と特徴量抽出
- 疾患の分類と検出のための機械学習モデルの開発
- 診断支援システムのプロトタイピングとユーザーインターフェースの設計
金融分野での不正取引検知システムの開発とデプロイ
解決できる課題
- 金融機関のセキュリティを強化し、不正取引による損失を防ぐ
- リアルタイムの取引モニタリングにより、不正行為の早期発見と対応を可能にする
仕事内容
- 金融取引データの前処理と特徴量エンジニアリング
- 異常検知と不正パターン認識のための機械学習モデルの開発
- 不正検知システムのクラウド環境へのデプロイと運用
製造業における AI を用いた品質管理と予知保全システムの実装
解決できる課題
- 製品の品質を自動的に検査し、不良品の流出を防ぐ
- 設備のセンサーデータを分析し、故障を事前に予測することで、生産性の低下を防ぐ
仕事内容
- 製造プロセスデータの収集と前処理
- 画像認識を用いた製品の品質検査システムの開発
- 設備の故障予測モデルの構築と予知保全システムの実装
農業分野での AI を活用した作物の生育状況モニタリングシステムの開発
解決できる課題
- 衛星画像やドローン画像から作物の生育状況を自動的に評価し、適切な農業管理を支援する
- 作物の病害虫や水ストレスをリアルタイムで検知し、迅速な対策を可能にする
仕事内容
- 衛星画像やドローン画像の前処理と特徴量抽出
- 作物の生育状態や病害虫の分類モデルの開発
- 農家向けの生育状況モニタリングアプリケーションの設計と実装
エネルギー分野における AI を用いた需要予測と最適化システムの構築
解決できる課題
- 電力需要を高精度に予測することで、効率的な発電計画と負荷分散を実現する
- エネルギー資源の最適配分により、エネルギーコストの削減と環境負荷の低減を図る
仕事内容
- エネルギー消費データの収集と前処理
- 時系列予測モデルを用いた電力需要予測システムの開発
- エネルギー資源の最適化アルゴリズムの設計と実装
教育分野での AI を活用した個別学習支援システムの開発
解決できる課題
- 生徒の理解度に合わせた適応的な学習教材を提供し、学習効果を高める
- 生徒の学習進捗状況をリアルタイムで分析し、教師の指導を支援する
仕事内容
- 生徒の学習データの収集と前処理
- 知識追跡モデルを用いた生徒の理解度推定アルゴリズムの開発
- 適応的な学習教材推薦システムの設計と実装
まとめ:AI エンジニアの仕事内容について
この記事では AI エンジニアの仕事を、一連のプロセスとともに紹介しました。
それぞれの段階ごとに必要なスキルも多く、すごく大変だと思われたかもしれません。実際のプロジェクトでは、これらのスキルを持つ複数の AI エンジニアが協力し、役割分担をしながら作業を進めることが一般的です。
例えば、ある AI エンジニアはデータの収集と前処理を担当し、別の AI エンジニアがアルゴリズムの選択と設計を担当するといった具合です。
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